1年次
別の大学を目指すも1年間の浪人を経て名古屋大学の門を叩きました。故郷を離れ、期待と不安が入り混じる中での入学でした。
名古屋大学工学部に入学したとき、「早く専門的なモノづくりがしたい」という期待を抱いていました。しかし、1年生の科目で待ち受けていたのは、期待していた専門科目ではなく、基礎的な教養科目の連続でした。オンライン授業の影響もあり課題が非常に多く、日々それらに追われる生活を送りました。
一人では到底太刀打ちできない難しい課題に直面したとき、友人や先輩と協力して問題を解決するという、工学部ならではのスタイルを身につけていきました。わからないことを放置せず、自ら調べ、周囲に頼る。時には試行錯誤を重ね、根気よく取り組むという泥臭い経験が、粘り強さの土台となりました。
2年次
2年生になり専門的な内容が増える中で、限られた時間をどう使うかという戦略を立て始めます。闇雲に時間をかけるのではなく、過去問を分析して出題傾向を把握したり、得意な人にポイントを教えてもらったりするなど、効率的な学習方法を実践するようになりました。
この時期、生活面でも変化がありました。名古屋大学生協の食堂でのアルバイトを始め、そこで学科を越えた多様な学生と交流することで、自身の視野を大きく広げることができました。一方で、日々の生活習慣においては、活動が多忙になるにつれてなかなか自炊ができなくなりました。その結果、コンビニ弁当に頼る機会が増え、栄養バランスの偏りや食費の増加といった現実的な課題にも直面することとなりました。
また、サークル活動においても、コロナ禍による部活動の活動制限という大きな壁にぶつかりました。思うように活動ができないもどかしさを感じ、仲間との交流が減ってしまうなど、苦労の絶えない時期でもありました。
3年次
3年生になると、研究室配属を意識したより能動的な学びが始まります。座学については「オンラインの利便性を活かしたほうが良い」と考える一方で、実験や実習については対面で行うべきという強いこだわりを持つようになりました。
研究室での活動が始まると、指示を待つのではなく自ら学ぶ必要性を痛感し、学問に対する理解が一段と深まっていきました。研究はリモートで行える部分もありましたが、研究室という場所そのものが生活の軸となっていきました。
4年次
4年生になり、多くの工学部生と同様に大学院進学を視野に入れつつも、自らのキャリアについて深く悩み始めました。
まず、就職活動が一段落した時期に、あえて人事や営業といった幅広い実務を経験できる設計事務所での長期インターンシップへの挑戦を決めました。そこでの経験を通じて、エンジニアとしてのスキルだけでなく、仕事の進め方やコミュニケーションの重要性を肌で感じ、学び取ることができました。
また、進路についても大きな葛藤がありました。当初はいろいろな挑戦ができるベンチャー企業を志望していましたが、親の期待と自分のやりたいことの間で悩み抜き、最終的には大手企業も視野に入れるなど、自身のキャリアプランを柔軟に再考する場面もありました。
4年間の振り返り
振り返れば、彼の4年間は、知識や技術を身につけるだけでなく、課題に向き合う姿勢そのものが変化していく時間でした。
1年次には、膨大な課題に戸惑いながらも、友人や先輩と協力し、試行錯誤する中で「一人で抱え込まない」学び方を身につけました。2年次には、限られた時間の中で成果を出すために、学習方法や生活の組み立て方を工夫するようになりました。
3年次以降は、研究室という場を拠点に、指示を待つのではなく自ら考え、学びを深めていく姿勢が定着していきます。そして4年次には、大学院進学や就職といった選択肢を前に、自分の関心と現実の条件をすり合わせながら、将来を主体的に考えるようになりました。
名古屋大学は、彼にとって「答えを与えられる教育」をされる場ではなく、課題を定義し、仲間と協働しながら解決へと近づいていく力を育てる場だったのです。
インタビュー調査の概要
本サイトに掲載している学生ストーリーは、名古屋大学の在籍する学部学生を対象に教育基盤連携本部が実施したインタビュー調査に基づいて構成しています。
本調査は、2017年度から2024年度にかけて、2018年度を除き、毎年度1月頃に継続的に実施してきました。これまでに、累計59名の学部学生にインタビューを行っています。その中でも、ここで紹介しているストーリーは、在学中の4年間にわたり継続して調査を実施した11名の学生のインタビュー結果を中心に、再構成したものです(2019年入学–2022年卒業:4名〈うち1名は医学部医学科のため2024年度卒業〉、2020年度入学–2023年度卒業:4名、2021年度入学–2024年度卒業:3名)。継続的な調査により、入学から卒業に至るまでの学習経験や生活経験の変化、迷いや成長のプロセスを、時系列で丁寧に捉えることが可能となりました。なお、掲載しているストーリーは、特定の個人を描写したものではありません。複数の学生に共通して見られた経験や語りをもとに、個人が特定されない形で再構成しています。
出典
- ・名古屋大学教育基盤連携本部『2025年度春季入学時アンケート結果報告書』2026年2月
- ・名古屋大学『第28回学生生活状況調査』2022年10月
- ・名古屋大学教育基盤連携本部『2024年度春季卒業時・修了時アンケート結果報告書』2026年2月
- ・名古屋大学『2025年度全学教育科目履修の手引 STUDENTS’ GUIDE』2025年3月
https://office.ilas.nagoya-u.ac.jp/news/2025Student's_Guide/ - ・名古屋大学総務部広報課『名古屋大学プロフィール2025』2025年7月
https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/profile/nuinfo/index.html - ・名古屋大学「令和7年度入学者選抜状況」2025年4月
https://www.nagoya-u.ac.jp/admissions/exam/data/exam-data/index.html - ・名古屋大学ジェンダーダイバーシティセンター「ジェンダー関連の動画・リンク集」
https://www.kyodo-sankaku.provost.nagoya-u.ac.jp/gender_links