名古屋大学 高等教育研究センター

■ 取組の概要

授業デザイン力の形成

なぜ授業デザイン力か?

 名物教師と呼ばれるような先生の授業では、学生のモチベーションも高く維持され、積極的に課題に取り組み、結果として学生は授業を通じて多くのことを身につけます。 しかしながら、多くの教員にとって名物教師と同じような授業をすることは困難です。

 だからといって、授業の成否の要因を名人芸や個人の性格に求めていては、大多数の教員にとって授業改善の手掛かりすら得られません。

 授業デザイン力は、全ての教員に求められる力です。そしてそれは、名人芸ではなく全ての教員が身につけられる力です。このコンセプトは、授業の巧拙や専門知識の多寡が授業成功の大きな要因ではないことを意味します。

授業デザイン力とは?

 それぞれの授業はカリキュラムの中に位置づけられており、その授業で学生に何を身につけてもらうべきかが示されています。一方で、担当する授業を受講しにやって来る学生の学力や学習歴は多様です。授業の担当教員は、この多様な学生をうまく組織しながら、授業を通じてカリキュラムで求められる目標を達成してもらうよう、指導をしなければなりません。

 授業デザイン力は、こうしたカリキュラム目標と学生像がスムーズにつながるように、授業全体を見通して設計する力を指します。その中には、授業の目標を適切に設定し、目標の到達を促進する課題を設定し、課題の達成に必要な授業内容を精選して授業計画にまとめ、それにあわせて教材を用意する力などが含まれます。すなわち、シラバスを設計する力は、授業デザイン力を構成する要素の最も重要な部分です。


教員の自発性を尊重する取組

 実質的な授業の改善のためには、教員が自主的・日常的・継続的に授業改善に取り組めることが有効かつ必要です。高等教育研究センターの取組は、このような自主的・日常的・継続的な授業改善活動を尊重し、支援する取組です。

 高等教育研究センターでは、教員の自発性を尊重しながら全学的な教育力の向上を責任を持って組織するために、(1)授業デザイン力を身につけるための方法論の提供、(2)方法論に沿って授業での実践、(3)実践事例を蓄積して学内での共有を進め、(4)方法論へのフィードバックや、同僚から授業改善のヒントを得られるようなコミュニティの形成として全学的な教育力の向上を図る、というプロセスに沿って取組を進めていきます。

自発的授業改善のプロセス


取組の3つの柱