名古屋大学 高等教育研究センター



2012年度名古屋大学学生論文コンテスト

学問のススメ、論文へススメ。

学生生活にスパイスは足りていますか?
授業に出る、レポートを書く、試験勉強をする、
サークルに入る、友達と遊ぶ、本を読む、アルバイトをする・・・
まだまだもの足りない人へ
学問の香りのスパイスを贈ります
読書の秋も深まったら、冬仕度
――さあ、論文へススメ!


■ 2012年度審査結果

2012年度名古屋大学学生論文コンテストの審査会を2013年2月22日(金)に開催しました。応募のあった40本の論文を、山本一良理事、佐野充附属図書館長、戸田山和久教養教育副院長、早川義一高等教育研究センター長により厳正に審査した結果、次の6本が優秀賞に選ばれました。表彰式は3月7日(木)附属図書館長室にて行います。受賞した論文は本学の研究成果物として名古屋大学学術機関リポジトリに登録されます。

▼ 優秀賞

「大学生の持つ”ひとり”の認識〜積極的孤独と消極的孤独〜」
文学部1年 吉川千尋さん

▼優秀賞

「痴漢冤罪の昏き闇 ―正しく裁かれる世界へ―」
法学部1年 川浦翔太さん

▼優秀賞

「ケアから探る、今を生きる意味」
医学部2年 新藤さえさん

▼優秀賞

「"和声"が伝える音楽の癒しとは? : 『トロイメライ』についての考察」
医学部5年 金山知弘さん

▼優秀賞

「国際秩序観の相剋としての日清戦争」
医学部5年 山田悠至さん

▼優秀賞・名古屋大学消費生活協同組合理事長賞

「書籍再販制の展望」
法学部1年 土屋遼准さん

▼ 事務局から

2012年度は史上最多40名の応募があり、そのなかから上記の6名に優秀賞が贈られました。審査委員からは、例年に比べて格段に力作が多く、問いの設定や先行文献の読書量、論理構成などにおいて、全体的な水準が高くなっていることが評価されました。

吉川千尋さんの論文は、調査対象者の年齢層と立場を大学生に絞り、独自のアンケートを行っています。その結果をふまえて、「ひとり」という概念にも積極的なものと消極的なものとがあることを見出し、「ひとり」の意識の変化と認識のあるべき形についてまとめています。対象者の人数も多く、努力のほどがうかがえるものとなっています。アンケート結果をもとに図を作成し、わかりやすい論文にするための工夫が随所に見られます。先行研究も多く参照しています。

川浦翔太さんの論文は、設定した問題について、いくつかのフェーズに分けて現状を分析・考察し、分かりやすく説得力のある構成で論を展開しています。分析・考察を加えた各段階に、それぞれ冤罪を生む背景・原因がある、という独自性のある見解が高い評価を受けました。無駄の少ない文章で論述されているため、問題意識や主張がはっきりと伝わります。

新藤さえさんの論文は、「ケア」とは何か、を自分なりによく考え、高い文章力で書かれていたので、筆者の思いがよく伝わってきました。多くの人がケアの大切さを知り、実践するにはどのように取り組んでいったらよいか、など具体的な提案や考えが示すところまで論を進めることができれば、研究の意義はさらに大きくなるでしょう。

金山知弘さんの論文は、『トロイメライ』を起点に、和声の問題や音楽療法にまで論を展開し、ユニークで読み応えのある内容です。『トロイメライ』の和声について、楽譜を示しながら独自の考察を詳しく行っている点が高く評価できます。楽譜、文献など引用・参照元もしっかりと記されています。序論・結論・タイトルを効果的に使い、全体の論展開を明示する構成づくりに留意すると、さらによくなるでしょう。

山田悠至さんの論文は、日清戦争の必然性を、西洋と東洋の「国際秩序観」の違いと衝突に求め、日清戦争への考察を通して「世界の多元性への視点」を提唱する論文でした。最も目を引く点は、先行研究の多さです。多くの文献に目を通し、そこから得た知識を一つの論文のなかに取り込んでおり、勉強の成果がうかがわれます。さらに研究対象や問題点をしぼり、取捨選択するとよいでしょう。

土屋遼准さんの論文は、書籍再販制の歴史および問題点と解決策について、具体的かつ丁寧に論じています。海外の事例など、豊富な資料をもとに説得力のある論拠が提示されている点が評価されました。「現実に書店がつぶれるという状況がある」という訴えには説得力があります。再販制を見直す意義を強調して論を組み立て直すと、いっそう良くなるでしょう。

今後も高等教育研究センター・教養教育院・附属図書館では、みなさんの学術論文執筆を支援するセミナー等を提供しつつ、本コンテストを継続していきたいと考えています。「論理的に書く力」は大学で身につけるべき最も重要なスキルの一つです。次回もみなさんの力作に出会えるのを楽しみにしています。


2012年度の募集は締切りました。ご応募ありがとうございました。

■ 応募要項

▼論文内容

応募論文においてとりあげるテーマ/問いを明確に記述したうえで、文献等を活用して論じてください。内容領域は問いませんが、当該領域を専門としない人にも理解できるよう記述してください。
(論文題目例を本ページ下部に掲載しています。)

▼応募期間

2013年1月11日(金)13時まで

▼応募資格

名古屋大学に在学する学部学生

▼応募規定

  • 応募論文は、単著、未発表かつ日本語で書いたものに限ります
  • 審査対象論文は1人1編のみとします
  • ホームページ(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/ronbun/)に掲載されている書式に従い、論文と応募用紙それぞれについて電子ファイル(PDFまたはWord)を作成し、メール送信してください

▼ 応募方法

  1. 論文本編と応募用紙の書式電子ファイル(PDFまたはWord)を当ページからダウンロードしてください。
  2. 書式に従って論文と応募用紙を作成してください。
  3. 論文本編と応募用紙、計2点の電子ファイル(PDFまたはWORD)を下記メールアドレスに期日内に送信して下さい。

▼審査

本学教員による

▼表彰

数名以内に賞状及び副賞

▼結果発表

  • 2013年3月上旬を予定
  • 発表に際し、入賞者の所属学科および氏名を公表いたします
  • 入賞作品は名古屋大学学術機関リポジトリに掲載いたします

▼その他

  • 論文の書き方に関する各種文献を中央図書館2階ラーニングコモンズおよび高等教育研究センター(東山キャンパス文系総合館5階)にて閲覧できます
  • [参考]論文題目の例
    • 「携帯読書端末は若者の読書量を増やせるか」
    • 「フェアトレードは私たちの生活をどう変えるか」
    • 「自然エネルギーの利用方法と現状」
    • 「理科離れはどのように測定されているのか」
    • 「なぜ日本の首相は長続きしないのか」
  • 過去の入賞論文は名古屋大学学術機関リポジトリに掲載されています
  • 過去の受賞論文タイトル・テーマについては、以下のリンクから確認できます

■ 主催

名古屋大学 高等教育研究センター、教養教育院

■ 共催

名古屋大学 附属図書館

■ 協賛

コクヨマーケティング株式会社

名古屋大学消費生活協同組合

■ お問い合わせ先

名古屋大学高等教育研究センター 2012年度名古屋大学学生論文コンテスト担当

Tel:
052-789-5696
E-mail:
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
URL:
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/ronbun/


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