名古屋大学 高等教育研究センター

第60回招聘セミナー 学びの主権者と共に進める教育改善 ─岡山大学の挑戦─ 橋本 勝 氏 岡山大学教育開発センター教授 2006年 12月12日(火)午後4時半〜 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館3階 311号室

■ 講演要旨


 大学にとって学生は一体どういう位置づけであるべきなのでしょうか。一般的には「社会に送り出すための人材としての商品」あるいは「教育サービスを受容する顧客」という捉え方がよくなされると思います。しかし、大学の原点に立ち返る時、それだけでは不十分なのではないでしょうか。すなわち、大学は高校までの強制的な学びから解き放たれて、自発的・主体的学びに目覚めるべき場であり、知的空間として、あるいは知的協働体として、多くの学生たちが日々多くの学びを積み重ね、知的成長を遂げつつある場所です。つまり、大学における学生はこの意味で「学びの主権者」としても正当に位置づけられる必要があると考えられます。

 岡山大学は、学生たち全員にこの考え方を浸透させ、教育は大学から一方的に与えられるものではなく、教員・職員・学生が協力しながら一緒にかたち作っていくものという意識を芽生えさせようとしています。そして、この考え方を具現化したものが平成17年度特色GPにも採択された「新基軸『学生参画』による教育改善システム」に他なりません。


 本学の取組の中核的な役割を果たしているのは、各学部から推薦された学生と教員とこれをサポートする職員からなる学生・教職員教育改善委員会(以下「改善委員会」)です。学生が30名前後、教員が15名前後、職員が数名という規模で組織されています。改善委員会は教職員によって構成される大学の各種委員会と同等な扱いがなされており、ここでの正式決定は大学の公的な決定プロセスの俎上に乗ってきます。これまでの5年間の積み重ねの中で、シラバス・授業評価アンケートの改善や学生発案授業の実現、教養科目における抽選のWEB化を通じた公正化、など様々な提案が実現しています。こうした提案と協議を円滑に行うため、改善委員会はいくつかのワーキンググループに分かれて恒常的な、サークル活動にも似た活動を行っています。また、全国の様々な大学の学生・教員・職員による学生参画型教育改善に関わるワークショップ(教育改善学生交流)や新入生に対する履修相談会など、学生の自主性を活かした催しも行っています。 尚、改善委員会の活動概要を知る映像を下記より配信しています。

http://cfd.cc.okayama-u.ac.jp/gp/17gp.html (当日の講演ではこの映像も放映)

■ 開催案内

第60回招聘セミナー
学びの主権者と共に進める教育改善
─岡山大学の挑戦─

橋本 勝 氏
(岡山大学教育開発センター教授教授)

日時:2006年 12月12日 (火) 午後4時半〜
場所:名古屋大学東山キャンパス 文系総合館3階 会議室 311号室

講演概要
 平成17年度に特色GPに採択された岡山大学の学生参画型教育改善は時代のニーズに応える取組として高く評価され全国から注目を集めている。学生を教育サービスの消費者や社会に送り出す商品として捉えるのではなく、学びの主権者として正当に位置づけ、教育を一緒に創っていく主体と考えた時、教育改善は学生と共に進めて初めて有効性が高まるといえる。今回の講演では、この岡山大学の取組の狙いと概要を映像を交えて紹介する。

言語:日本語

お問い合わせ: 夏目 <natsume@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5693)

※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。

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