名古屋大学 高等教育研究センター

第63回招聘セミナー 大学空間のマネジメント 小松 尚 氏 名古屋大学大学院環境学研究科 5月30日(水)18時30分〜19時45分 名古屋大学文系総合館7階 オープンホール

■ 講演要旨

 大学のマネジメントにおいて空間のマネジメントは喫緊の課題ですが、2つの視点で取り組んでいく必要があると考えています。ひとつはキャンパス内の、つまり大学が独自に実行可能なマネジメントです。もうひとつは、周辺の地域や都市との連携によって追求すべきマネジメントです。

 一般に、施設関係費は人件費に次ぐ額となります。日本でも1980年代からファシリティマネジメント(FM)が企業を中心に導入されてきましたが、サイズや機能が多種多様な部屋や空間が存在し、多くの関係者が利用する大学キャンパスにもFMが必要となるのは必然といえます。

 大学のFMについて、名古屋大学は先駆的な取り組みをしてきています。1990年代半ばから工学部が取り組んでいる施設の利用実態の把握とデータベース構築はその一つです。このデータベースを活用した整備計画検討とともに利用面積に応じた課金(スペースチャージ)は、施設を有効かつ柔軟に、流動的に利用するための方策として各大学が導入を検討しています。

 一方、わが国の大学と地域・都市は、教育研究の範囲で結びついて来ましたが、キャンパス内外の空間や活動をつなぐことで、地域と大学をトータルにマネジメントする動きが始まっています。疲弊する地域や都市の再生の担い手、牽引役として大学が期待されていると同時に、18歳人口の減少や新たな教育研究スタイルの構築といった大学サイドの課題の活路を、地域や都市に見出そうとしていると理解できます。

 大学と地域や都市の組み合わせは多様なためその方向性はケース・バイ・ケースですが、欧米の先進事例の取り組みをみると、空間上の方策とその仕組みづくりが必要となることがわかります。前者としては、(1)ランドスケープ・タウンスケープの連続性、(2)交通体系の整合化、(3)地域産業のインキュベーターとしての教育研究施設整備、(4)良好な地域生活を支援する居住系施設の整備が挙げられます。後者については、(1)フレームワークとしての大学と地域の統合的な計画枠組、(2)NPOなど多様な主体が参画可能なシステムや連携を支援する組織、(3)事業化のためのスキーム、(4)大学の窓口整備や体制・制度の連動性などが求められます。

 これから新たなタウンとガウンの関係を構築するためには、トータルなマネジメントという視点での取り組みとスタディを重ねる必要があると考えています。

■ 開催案内

第63回招聘セミナー

大学空間のマネジメント

小松 尚 氏
名古屋大学大学院環境学研究科
日時: 5月30日(水)18時30分〜19時45分
場所: 名古屋大学文系総合館7階 オープンホール

講演概要

 大学経営上、建物に関する支出は人件費に次ぐものであり、その有効活用の 必要性については論を待たないでしょう。しかし、どんな視点で、またどんな 広がりで考えるべきかについては検討の余地がまだあります。 ファシリティマネジメントやキャンパスマネジメント、さらには環境マネジ メントの観点で、事例を紹介しながら、アカデミックプランを実現する上での 空間のもつ役割や、課題についてお話ししたいと思います。

お問い合わせ: 中井 <seminar@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5385)

※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。

案内用ポスターPDFPDF

PDFファイルをご覧になるにはAdobeReaderが必要です。 AdobeReaderは、Adobe社AdobeReaderダウンロードサイトからダウンロードできます。
Get AdobeReader