第64回招聘セミナー 8月3日(金)16時00分〜18時00分 名古屋大学文系総合館7階 オープンホール
講演要旨
カリフォルニア州立大学における授業改善支援 -CSUS(California State University, Sacramento)を事例として-
英語で魅力ある講義を提供するために必要な要素は、単に「語学力」に限定されない。教員の発声法、シラバスや資料の使い方、またコンピューターの技術を活かした授業形態など、さまざまな創意工夫が大切となる。CSUS(California State University, Sacramento)では、「学生第一」を標語として、学生を惹きつける授業ができるように大学が組織的に取り組んでいる。教員評価の51%が教育に関する評価であり、教員に対する研修も充実している。教員がやってはいけない7つのことがまとめられている。それは、(1)学生との関係を大事にしない、(2)あやまる、(3)ビジュアルの不適切な使用、(4)質問に対する不適切なハンドリング、(5)準備なしでの登壇、(6)学生を授業に参加させない、(7)時間内に終わらない、である。
ミネソタ大学における大学教員養成プログラム "Teaching in Higher Education"
本講演ではミネソタ大学で開講されている大学教員養成プログラム(Preparing Future Faculty <PFF>)のひとつである"Teaching in Higher Education"の授業内容について、講演者自身の体験をもとに具体的に紹介した。講演の後、参加者とともに日本の大学における大学教員養成プログラムへの応用について検討した。
"Teaching in Higher Education"の授業は、毎学期3〜4クラス開講され、1クラス約25〜30名の大学院生等が受講している。各クラス2名の教員(文系・理系)によるチーム・ティーチングによって行われ、主に参加型授業(アクティブ・ラーニング)の形式によって、授業は進められる。授業では、「受講者自身の学習者としての振り返りレポート」、「授業観察」、「ミニ実習」、「チーム・ティーチング実習」、「教育哲学(Teaching Philosophy)作り」、「シラバス作り(シラバス・ペア)」、「ポートフォリオ作成」、「グループ学習」等の課題が与えられ、授業内外の学習活動を通して、受講者たちは大学教員になるために必要な知識、スキル、姿勢等を学んでいく。
この授業を実際に受講した体験から、授業のメリットとして、以下の点を指摘できる。(1)大学教員を目指したキャリア形成準備の場となる、(2)担当教員や他学生からの丁寧なフィードバックを受け、大学教員として常に改善・成長していく大切さを学ぶ、(3)授業デザインや教授法など、事例を通して学び、実際に活用しやすくなる、(4)授業中の課題やディスカッションの指示方法など、実演から効果的な教授法が学べる等である。しかしながら、アメリカの大学院等で行われているPFFの内容はアメリカの文脈の中で効果の高いものであると思われるため、日本で応用する際には調整が必要と考えられる。今後、日本の大学においてこのような大学院生支援の場が普及し、大学教員としてのキャリア教育や成長が促されることを期待したい。
開催案内
第64回招聘セミナー
カリフォルニア州立大学における授業改善支援 -CSUS(California State University, Sacramento)を事例として-
筆内 美砂 氏
前 名古屋大学留学生センター 助教
ミネソタ大学における大学教員養成プログラム "Teaching in Higher Education"
高木 ひとみ 氏
名古屋大学留学生相談室 講師
日時: 8月3日(金)16時00分〜18時00分
場所: 名古屋大学文系総合館7階 オープンホール
講演概要
カリフォルニア州立大学における授業改善支援 -CSUS(California State University, Sacramento)を事例として-
英語で魅力ある講義を提供するために必要な要素は、単に「語学力」に限定されない。教員の発声法、シラバスや資料の使い方、またコンピューターの技術を活かした授業形態など、さまざまな創意工夫が大切となる。本セッションではCSUS(California State University, Sacramento)の教員がどのように教育に取り組み、学生を惹きつける授業を行っているかを紹介する。また、CSUSの事例を踏まえて、特に日本の大学で課題となりうる点を参加者とともに検討したい。
ミネソタ大学における大学教員養成プログラム "Teaching in Higher Education"
ミネソタ大学で開講されている大学教員養成プログラムのひとつである”Teaching in Higher Education”の授業を紹介する。この授業では大学教員になるために必要な教授法、授業やシラバスのデザイン方法、授業観察や実習、就職のためのポートフォリオ作成などの内容だけでなく、教育活動における内省力が身に付くよう工夫されている点が特徴である。2004年秋学期に実際に受講した事例紹介を通して、日本の大学における大学教員養成プログラムへの応用について検討したい。
お問い合わせ: 夏目 <natsume@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5693)
※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。