第50回客員教授セミナー 大学の組織文化と職員の開発 大場 淳 氏 広島大学高等教育研究開発センター・准教授 2010年1月28日(木)16:00〜18:00 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール
講演要旨
いずれの組織も、固有の組織文化(organisational culture)を持つと言われる。組織文化とは組織の構成員間で共有された価値観や信念、行動パターン等の総体で、組織の構成員の行動を規定し、リーダーシップとは表裏一体となるものである。それは、当該構成員の行動に大きく影響することによって組織の経営に直接に作用するとともに、環境の変化への対応を方向付ける。組織が有効に機能するためには、その管理者はそれぞれの組織文化を十分に理解し、構成員の間に価値の共有を図るとともに、ガバナンスの一連のプロセスと組織文化が整合していることが不可欠である。そうした必要性は大学においても例外ではない。
大学は、企業等の他の社会制度とは異なる組織文化を持つと言われ、伝統的に同僚的な文化が尊重されてきた。近年の日本における大学のガバナンス改革は、こうした同僚制に制限を加えつつ、学長のリーダーシップや執行部への権限集中、上位下達(トップダウン)的意思決定が強調されてきたことに特徴の一つがある。しかしながら、上位下達的な意思決定の問題は多くの者が指摘するところであり、調査によれば、学内の合意形成等に悪影響を与えていることが明らかになっている。また、これまでの組織文化やその一体となるリーダーシップの研究に基づけば、企業化する今日の大学に必要とされているのは上位下達的あるいは一人の者による強いリーダーシップではなく、支援的・分散的なリーダーシップである。
職員開発(FD/SD)の目的は、単に職務遂行にかかる個人の能力開発に止まらず、集団全体の意識─組織文化─の改革をも対象としなければならないことは言うまでもない。その際、組織のあらゆる階層・場所においてリーダーを育成することが必要であり、そのためにはボトムアップ的な取組が決定的に重要である。各大学における職員開発の具体的な在り方については、それぞれが置かれた環境や組織文化によって異なるが、組織学習や学習する組織、コミュニティ・オブ・プラクティスなど、様々な方法や概念が研究開発されてきており、幅広い学内構成員の参加を得た試行錯誤や優良実践(good practice)の共有・普及等によって、それぞれが置かれた環境に適した組織文化を形成していくような職員開発の推進が期待される。
開催案内
第50回客員教授セミナー
- 講演題目
- 大学の組織文化と職員の開発
- 講演者
- 大場 淳 氏(広島大学高等教育研究開発センター・准教授)
- 日時
- 2010年1月28日(木)16:00〜18:00
- 場所
- 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール
講演概要
いずれの組織も固有の組織文化(organisational culture)を持つと言われる。それぞれの組織が有効に機能するためには、その管理者はそれぞれの組織文化を十分に理解し、構成員の間に価値の共有を図ることが不可欠である。その必要性は大学においても例外ではない。本セミナーでは、リーダーシップや組織学習等に焦点をあててつつ、そのための職員の開発の在り方について検討する。
- お問合せ先
- 安田淳一郎
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5386
- ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。