名古屋大学 高等教育研究センター

第95回招聘セミナー 大学職員の能力を高めるために 伊東 陽子 氏 国立大学財務・経営センター経営支援課長 2011年2月24日(木)18:30〜20:00 東山キャンパス 文系総合館7階カンファレンスホール

■ 講演要旨

大学を取り巻く環境が厳しくなり、業務の多様化、高度化により、大学職員へ求められる能力そのものに変化が起こってきた。

中教審の学士課程答申では、「大学経営をめぐる課題が高度化・複雑化する中,職員の職能開発(スタッフ・ディベロップメント,SD)はますます重要となってきている大学職員に求められる能力は日々変化している」とされその重要性が述べられている。

大学として行われているSDの特徴として、以下の点を指摘できる。?階層別研修は、組織形態やフラット化による階層の変化があるが、従来と同様の階層で行っている。?業務内容別研修は、大学を取り巻く環境の変化に応じ、業務体系の刷新を行っているにもかかわらず、同じ業務の内容である。?新たな分野についての研修が求められているのに、新しい業務体系に対応したものとはなっていない。

大学職員の仕事の変化を考えれば、従来の研修をそのまま踏襲することはありえない。現場業務に即した研修内容に改善されてこそ、成果に結びつく。必要に応じて、取組を改善し業務の成果に結びつけることや、新たな分野については現場にマッチしたものとして、研修などに取り入れることが求められる。

本セミナーでは、未来の大学の管理運営や研究支援の要となる若手職員や中間管理職の能力を高めることに焦点を当てた。

はじめに、階層別プログラムの実践事例として、現在勤務する国立大学財務・経営センターの国立大学法人係長クラス勉強会を取り上げた。この取組では、現場職員が真に求めていることを明確化することで、高い効果が現れ、現場の問題点の発見・解決や課題の明確化が可能となった。また、グループワークは、この取組の手法として適していることが確認された。

事後アンケートによれば、参加者は人間関係や企画力などの新たな能力修得や自己啓発による能力向上を求めており、大学に対しては職員育成方針の明確化を求めている。これは、職員がSDに求めていることと、大学が行っているSDとの間にミスマッチが起こっているということの証でもある。

さらに業務研修、人事異動と出向、自己啓発、職員採用の経験から見えてきた現状と課題について触れ、実践事例を含めて、大学職員の能力を高めるために必要なことについて階層別(若手職員、係長クラス、管理職)に整理した。

大学職員の能力を高めるためのSDの内容は日々変化するものであり、まさにイノベーションが求められている。理想はいくらでも掲げられるが、実行可能なもので、時宜に合致しなければ意味がない。タイミングよく、効率的なものを企画することが人材養成責任者に求められているのではないだろうか。

■ 開催案内

第95回招聘セミナー

講演題目
大学職員の能力を高めるために
講演者
伊東 陽子 氏
(国立大学財務・経営センター経営支援課長)
日時
2011年2月24日(木)18:30〜20:00
場所
東山キャンパス 文系総合館7階カンファレンスホール

講演概要

大学の置かれる立場は年々厳しくなる中で、大学職員へ求められる能力は日々変化し、高度化しているのが現状である。文部科学省の調査によれば、大学において取り組まれているSDの大半は研修とある。大学職員の仕事が変化しているにもかかわらず、従来の研修をそのまま踏襲する例や現場業務に即した研修内容になっていないものもあるようだ。SDの現状の分析、これまでの実践事例、自己啓発や職員採用などの経験を踏まえ、大学職員の能力を高めることについて考えてみたい。

お問合せ先
夏目 達也
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5693
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。

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