第62回客員教授セミナー 「中国の大学における教員組織と執行部の葛藤」 胡 建華 氏 南京師範大学教育科学学院・教授 2012年9月13日(木)17:00〜19:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
講演要旨
1985年に『中国共産党中央委員会の教育体制の改革に関する決定』が公表されてから、中国の高等教育は新たな改革期に入った。今回の改革は、持続する時間と影響する範囲から見れば、20世紀50年代初期に行なわれた改革をはるかに超えたものであるといえる。約30年を続いているこの改革は、高等教育の色んな面で深刻な変化を引き起こした。
周知の通り、80年代半ば以降に中国では計画経済から市場経済へ移行し始め、また知識経済のグローバルでの進行中に高等教育の国際化、大衆化に直面され、改革の進展に伴い、多くの課題や問題が生み出された。たとえば、大学の管理•運営に自主権が拡大されたことにつれ、大学内の管理体制、ガバナンスといった問題は大学の管理者と研究者の注目を集めるようになった。
『中華人民共和国高等教育法』には中国の大学の指導体制が明確に規定されている。すなわち、「国が設置する高等教育機関で中国共産党の高等教育機関委員会の指導のもとでの学長責任制を実施する」。この法律の条文を見れば、中国の大学の指導体制が党委員会の集団指導であることがわかる。具体的には、党委員会の常務委員会は大学の最高意思決定機関ということである。
現在、中国の大学のガバナンスでは、いくつかの教授を主体に設立された委員会は重要な役割を果たしている。たとえば、教育活動に関する学部教育委員会、大学院教育委員会、学位委員会、学術研究に関連する学術委員会、教員人事に関連する教授審査委員会などがある。一般的に、学長あるいは副学長は各委員会の委員長を務め、委員会のメンバーに各学院からの教授が含まれている。各委員会の責務範囲は
1952年に行なわれた大学改革により、「学院」という組織は中国の大学から消えた。そして80〜90年代になると再び、中国の大学に「学院」が続々と設立されるようになった。現在、ほとんどの大学に「学院」のシステムがあり、「学院」が大学の管理運営の上で重要な役割を果たしつつある。
中国の大学における教育組織と執行部の関係は次のようにまとめることができる。
(1)党委員会の常務委員会は、中国の大学において最高の意思決定の機関である
(2)大学が重要な政策を策定する場合、教授の意見をよく聴取する
(3)従来のトップダウン型の大学運営はある程度ボトムアップ型に変わりつつある
(4)学院の力が以前より強くなる傾向がみられる
開催案内
第62回客員教授セミナー
- 講演題目
- 中国の大学における教員組織と執行部の葛藤
- 講演者
- 胡 建華 氏
- (南京師範大学教育科学学院・教授)
- 日時
- 2012年9月13日(木)17:00〜19:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
講演概要
中国の高等教育改革では1990年代から大学のガバナンスに変化がみられる。その変化は大学の教員組織と執行部との関係という視点からとらえることができる。大学において教員組織は意思決定にどんな役割を果たしているか。従来のトップダウン型の大学運営はどこまで変わりつつあるか。本セミナーでは、現在の中国の大学における教員組織と執行部の葛藤について掘り下げたい
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5696
- ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。