第125回招聘セミナー
アメリカの大学の学習支援
-アメリカ式教務システムと教務職員の役割-
島田 敬久 氏
テンプル大学ジャパンキャンパス・教務部長
2014年7月17日(木)18:30~20:00
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7Fオープンホール
講演要旨
今日、国内の大学における教務改革を論じる際、有効な手段としてシラバス、コースナンバリング、Grade Point Average (GPA)などが列挙され導入と活用法についての議論が盛んになされているが、これらはアメリカの大学一般で既存の教務システムに組み込まれ実際に運用されているものであることは周知の事実である。本講演ではこれらのシステムの本来の意味に加え、それらを総合的に活用し実際の修学支援に活用する教務専門職としてのアカデミック・アドバイザーの職責について下記のとおり紹介と解説を行った。
- シラバス
- 単なる「授業日程表」ではない
- 本質は教員及び学生間に結ばれる厳格な相互契約書である
- 教員は授業日程、成績評価基準、成績評価方法、期待されるラーニング・アウトカムなど必要事項をあらかじめ学生に対し明確にし実行する義務を負う。概してアメリカのシラバスは日本で一般的に使用されているものと比較し、必須項目数が数倍に上る
- 学生は教員がシラバスに沿った授業を展開していないと判断した場合、大学に対し異議申立を行う権利を保障されている (Academic Grievance)
- GPA (Grade Point Average)
- AからFの成績 (Letter Grade) のついた科目を成績と単位数に応じて数値化し、「履修済総単位数 (F科目含む)」で割ったもの
- GPAとは一定期間の履修済総単位数に対する相対的な数値
- 日本版GPAの致命的欠点-F科目を母数から省いては絶対にいけない理由
- 質保証の観点から見たGPA-複数種類のGPAを使い分けることが重要
- コース・ナンバリング
- 大学が開講する全ての科目に割り振る「背番号」
- 科目の難易度や指導法に応じて番号に法則性を持たせる
- 大学全てのステークホルダーに対する「共通言語」
- カリキュラムの視覚化-効果的な学習プランへと繋げる
- アカデミック・アドバイザーとアドバイジング・センター
- 学生のニーズは日米共通-大学全入化時代にこそ必要な高度専門職
- 権限を持ったカリキュラムとポリシーのエキスパート
- 専門職アドバイザーの存在は教員支援でもある
- 「アカデミック・リソース」として学内で果たす役割
なお時間の関係により簡略な補足事項としてではあるが、これらのシステムが本来の効果を発揮する絶対条件として学期(セメスター)制・単位制と連動している必要があることも述べた。また本講演にあたり国内の多くの大学から本学にお問い合わせいただく中から上記4点に集中したが、学期制の意味、履修登録システムと時期、成績不良者への対応など今回割愛せざるを得なかった他の教務システムについては、可能であれば別の機会にお話させていただきたいと考えている。
開催案内
第125回招聘セミナー
- 講演題目
- アメリカの大学の学習支援
-アメリカ式教務システムと教務職員の役割- - 講演者
- 島田 敬久 氏
- (テンプル大学ジャパンキャンパス・教務部長)
- 日時
- 2014年7月17日(木)18:30~20:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7Fオープンホール
講演概要
国内の大学における教育・教務改革を論じる際、有効な手段としてシラバス、コースナンバリング、GPA などが列挙される。これらはアメリカの大学一般で教務システムに組み込まれ、実際に運用されているものがモデルであることは周知のとおりである。アメリカにおけるこうしたシステムの本来の意味と具体的な運用例と同時に、これらを実際の学習支援に活用する教務専門職としてのアカデミック・アドバイザーの職責を紹介する。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5696
- ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。