第131回招聘セミナー 大学教員のキャリアと能力形成 丸山 和昭 氏 福島大学総合教育研究センター・准教授 2014年11月14日(金)16:00~18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
開催案内
第131回招聘セミナー
- 講演題目
- 大学教員のキャリアと能力形成
- 講演者
- 丸山 和昭 氏
- (福島大学総合教育研究センター・准教授)
- 日時
- 2014年11月14日(金)16:00~18:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
講演概要
大学教員は代表的な専門職のひとつですが、入職や能力形成の過程が明確にイメージしづらい専門職でもあります。大学教員は、いつ、どのように、自分が「大学教員」としての能力を身につけたと考えるのでしょうか。講師が分析に関わった「大学・短大教員のキャリア形成と能力開発に関する調査」(東北大学実施)に基づく知見を紹介するとともに、他の専門職との比較から考えておきたいキャリア形成支援上の困難と課題等についてお話しします。
講演要旨
当日は、大学教員のキャリアと能力形成について、専門職としての大学教員の特徴、大学教員が能力獲得感を得るタイミング、専門分野によるキャリアの違い、大学教員のキャリア形成支援上の困難と課題について、東北大学が東北地域の23大学・短大の教員を対象に実施した「大学・短大教員のキャリア形成と能力開発に関する調査」の結果を中心にお話しました。
まず、専門職としての大学教員の特徴について、代表的な専門職である医者・弁護士の養成課程との比較から整理しました。総じて、大学教員は代表的な専門職のひとつではあるものの、職業集団の内部に極端な多様性を抱えていることから、入職や能力形成の過程が明確にイメージしづらい専門職でもある点を指摘しました。次に、東北大学調査に基づき、大学教員が能力獲得感を得るタイミングについてお話ししました。調査結果の概略としては、大学教員としての能力を備えていると感じる平均年齢は38歳、入職後6年前後であること、能力獲得感は経験年数に応じて漸増すること、任期付き雇用は能力獲得にマイナスであること等を指摘しました。また、専門分野による比較からは、能力獲得感を得るタイミングや、経験に応じて能力獲得感が増す点、任期付き雇用への否定的評価は分野を問わず共通するものの、入職経路や昇進の速さ、重視する研究能力の内実は分野によって異なるという点を指摘しました。
最後に、これらの調査結果を踏まえた上で、他の専門職との比較から考えておきたいキャリア形成支援上の困難と課題等についてお話ししました。具体的には、大学教員は個人的側面に加え職業人としての役割も多様であるため、トータルとしてのキャリア形成に特有の課題を抱えているのではないか、このような多様な役割間の統合を助け日常的・自発的な職能成長を促す施策が必要ではないか、との論点を示しました。ディスカッションでは、どのように能力獲得感と実際の能力を区別するのか、入学者確保など実際の大学の現場で必要とされる職務は「大学教員の能力」として認識されていないではないか、任期付きの若手教員は今後どのようにキャリアを考えていくべきか、といった点について議論を深めることができました。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
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