第133回招聘セミナー オーストラリアにおける学士課程教育の動向と課題 Richard James 氏 メルボルン大学・学務担当副学長 2015年1月22日(木)16:30~18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
開催案内
第133回招聘セミナー
- 講演題目
- オーストラリアにおける学士課程教育の動向と課題
- 講演者
- Richard James 氏
- (メルボルン大学・学務担当副学長)
- 日時
- 2015年1月22日(木)16:30~18:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
講演概要
講演者のRichard James氏は、長年オーストラリアの高等教育研究・政策の議論と実践で指導的役割を果たしており、現在メルボルン大学の学務担当副学長を務めています。メルボルン大学は同国の有力大学であり、同時に幅広い教養的な学習促進等を内容とする学部教育改革をすすめています。この改革背景・現在・将来について言及しつつ、グローバル化の中での大学教育のあり方について考えます。
講演要旨
R.ジェームズ氏は、オーストラリアの有力大学・メルボルン大学で、高等教育研究センター長として、長年オーストラリアの高等教育研究・政策の議論と実践で指導的役割を果たしてきた。現在は、メルボルン大学の学務担当副学長として、同大学の教育改善に尽力している。これらの経験・実績をもとに、同大学が進めている学士課程改革を中心に語った。
講演では、最初にオーストラリアの高等教育の現状を概説した。同国の大学総数は40、非大学機関が132ある。大学は公立中心で規模は大きく、財政は連邦政府に依存している。
高等教育の質は高く、国際的な評価が高い。
授業料は連邦政府が規制してきたが、その規制が緩和され授業料収入を確保する観点からより多くの学生募集が不可避の課題となっており、それがカリキュラム改革の推進力になっている。
高等教育は同国の重要な輸出産業になっており、政府は収入確保の観点から国際化=課以外からの留学生受け入れ等が重要な課題に位置づけられている。現在留学生は学生総数の25%になっている。その背景には、西洋ルーツの教育、政府主導による教育質保証、高等教育修了者に対する永住権等の事情がある。質保証に関して、政府は多様な専門機関の設置を通じて、それを促進してきた。受容の国内学生の海外大学への送り出しにも取り組んでいる。
最近、各大学は学士課程の教育改革に乗り出している。その方向は職業教育重視、特定専門領域重点等多様である。メルボルン大学は、学士課程では教養教育を主体として専門教育は大学院レベルで重点的に行う政策を進めている。これは「メルボルン・モデル」と呼ばれる。関連して、以下のような改革を行っている。①学士課程は従来100種類もの学位コースに分かれていたが、これの種類を大幅に削減した。②それまで教育に関する哲学や実践が大学で議論されることはほとんどなかったが、この改革を進める過程で活発な議論が展開した。③学生の専攻領域・キャリアの決定時期を遅らせる。④カリキュラム改革を通じて大学運営の方法を各学部中心から全学中心に改める。
このような改革が可能になった要因として、高いモラルを志向する大学文化、改革のためにオープンな雰囲気・活発な議論、優秀なスタッフを指摘できる。
この改革が進む中で、上海交通大学による世界大学ランキングで同大学はオーストラリアのトップ(世界第44位)になるなど成果があがっている。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5696
- ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。
会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
※本講演会は英語で行ないます。(逐語通訳付)