第134回招聘セミナー
意思決定の高度化に向けたIRによる支援
-効果的なデータ活用に係る事例を通じて-
浅野 茂 氏
大学評価・学位授与機構・准教授
2015年2月3日(火)16:00~18:00
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
開催案内
第134回招聘セミナー
- 講演題目
- 意思決定の高度化に向けたIRによる支援
-効果的なデータ活用に係る事例を通じて- - 講演者
- 浅野 茂 氏
- (大学評価・学位授与機構・准教授)
- 日時
- 2015年2月3日(火)16:00~18:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール
講演概要
高等教育予算における基盤的経費の縮減、グローバル化や情報化社会の進展等、大学を取巻く諸環境の激変に伴い、Institutional Research(IR)への関心が増大している。 本報告では、IR 先進国とされる米国の高等教育機関におけるIR の実際を概観するとともに、報告者の日本の大学における実践例の紹介を通じて、IR がどのようにして意思決定支援業務を高度化できるかについて、参加者とともに検討したい。
講演要旨
Institutional Research(IR)とは何か。これは、IR先進国とされる米国においても一概には答えられない古典的な問題とされるが、国内外の既存研究において、最も引用されているSaupe(1999)によると、IRは「機関の計画立案、政策形成、意思決定を支援するための情報を提供する目的で、高等教育機関の内部で行われる調査研究」として定義される。つまり、IRとは学内外に散在する各種データや情報を収集し、これらの分析を通じて何が課題であるかを明らかにし、大学執行部の意思決定や学内の合意形成を支援する業務であると捉えることができる。
当日の報告では、米国のIR部署における訪問調査の結果を参照しながら、意思決定者であるプロボストやディーンが意思決定や学内の合意形成において、IR部署のどういった業務をどのように活用しているのかの検討を行った。例えば、プロボストやディーンが最も重視するIR業務のひとつに「学生の在籍継続率に関する分析(retention)」があるが、実際の意思決定や学内の合意形成においては、他の要素を加味しながら、データのみで判断されることはしていないのである。
一方、日本の多くの大学は、IR業務を遂行するうえで不可欠なデータや情報の収集において困難を抱えている実態を指摘した。平成24-25年度文部科学省先導的大学改革推進委託事業「大学におけるIR(インスティテューショナル・リサーチ)の現状と在り方に関する調査研究」によると、回答した557大学のうち、約8割の大学において、全学のデータを統合的に収集・蓄積しているものの、これらのデータに対するIR担当者のアクセス権は15%未満となっている。すなわち、全学的なデータを収集する仕組みは有しているものの、担当者のアクセス権が低く、それらを活用できない状況に置かれていることが示されている。こうした実態の解消に向け、実際の大学において取り組んだ事例を参照しながら、どのようにしてデータや情報収集の仕組みを構築できるのか、さらにはこれらを有効活用する手段としてどのようなことが考えられるのか、といったことについて、参加者とともに討議した。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5696
- ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。 会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。