第136回招聘セミナー
Tuning テスト問題バンクにおける機械系分野の
テスト開発の紹介
鈴木 教和 氏
名古屋大学大学院工学研究科・准教授
2016年7月7日(木)16:30~18:00
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
開催案内
第136回招聘セミナー
- 講演題目
- Tuning テスト問題バンクにおける機械系分野のテスト開発の紹介
- 講演者
- 鈴木 教和 氏
- (名古屋大学大学院工学研究科・准教授)
- 日時
- 2016年7月7日(木)16:30~18:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
講演概要
Tuning テスト問題バンクは、大学教員がテスト問題を共同で作成するとともに、作成したテスト問題を広く共有することを通して、コンピテンスと学習成果についての対話を喚起し、共通理解を形成することを目指す取組です。さらに、教育改善に資する学習成果アセスメントの在り方と情報の取扱いについて検討を深め、具体的な方法を開発する取組です。
機械系分野における実際のパフォーマンステスト開発の具体的な方法と過程、およびその作業を通じて明らかとなった課題や困難な点などについて紹介します。
卒業時質保証やパフォーマンステスト開発に関心を持つ教職員の参加を歓迎します。
講演要旨
セミナー当日は、Tuning テスト問題バンクの考え方と取り組みの説明の後、機械系分野におけるテスト開発の実際について、WG委員としての経験を踏まえて紹介いたしました。 以下、内容を2つに分けて報告いたします。
1.Tuning テスト問題バンクについて
Tuning テスト問題バンクは、大学教員がテスト問題を共同で作成するとともに、テスト問題を広く共有することを通して、コンピテンスと学習成果についての対話を喚起し、共通理解を形成することを目指した取組です。同取組は、国立教育政策研究所が平成20~24 年度に取り組んだOECD-AHELO フィージビリティ・スタディの成果と課題に基づいて着想されました。平成25~26 年度の立ち上げ期間を経て、平成27 年度からは国際研究・協力事業「チューニング情報拠点」の一環として展開されています。
同取組におけるテスト問題バンクの構築は、現在、機械工学分野をモデル事業として展開されています。具体的には、テスト問題の作成・提案及び教育活用を進めるための会員制サイトの整備等が進んでいます。平成26 年度には「典型的なテスト問題」作成と国際パートナーとの意見交換、平成27年度には中核メンバーによる地域拠点の形成が進められました。
2.機械系分野のテスト開発について
テスト問題作成の際に共有されたコンピテンスの枠組みは、工学ジェネリックスキル(工学及び工学以外の分野)、工学基礎・工学専門(専攻する工学分野及び工学全般)、工学プロセス(工学分析、工学デザイン、工学実践)から構成されています。このうち、工学基礎・工学専門の学習成果は主に多肢選択式問題、工学プロセス及び工学ジェネリックスキルの学習成果は主に記述式問題で測定することが目指されています。特に工学プロセスのコンピテンスでは、他のコンピテンスに下支えされた高次のものとして、「技術者のように考える力」を問うための記述式問題の作成が目標となっています。
実際の機械系分野のテスト開発では、2014年6月~12月の約半年間において、計4回のWGの開催、テスト問題と採点ルーブリックの作成、試行テストの実施等が進められました。この際、記述式問題の要点としては、「実在する対象をとりあげる」、「社会常識・物理学知識・機械工学の基盤知識を駆使して考えさせる」等の取り決めも定めました。試行テスト後には、テスト問題の修正、英文チェック、著作権手続きを経て、2016年6月に実際の学生を対象にした大規模調査を実施するに至りました。
当日の報告では、実際に作成した工作機械の動力伝達や振動に関する記述式問題や、学生の正答率や感想も紹介いたしました。また大学院入試との違い、記述式問題から曖昧さや不正確さを排除することの難しさ等について、フロアを交えた議論が行われました。「技術者のように考える力」に関する問いを持続的に開発・共有すること、問いに根差した授業の見直しを進めていくこと等が、今後の課題とされる点です。
- 申し込み方法
- 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5696
- 本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。