名古屋大学 高等教育研究センター

第80回客員教授セミナー IRを活用した大学教育の改善 浅野 茂 氏 山形大学学術研究院・教授 2016年7月28日(木)16:00~18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第80回客員教授セミナー

講演題目
IRを活用した大学教育の改善
講演者
浅野 茂 氏
(山形大学学術研究院・教授)
日時
2016年7月28日(木)16:00~18:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

日本の大学関係者のInstitutional Research(IR)に対する関心と期待は依然として高い。 特に、学習成果の把握、教育の質保証、教学マネジメントなど、大学教育の改善に向けた取組が学外から強く求められるに連れ、多くの大学でIR の活用が模索されている。

本報告では、報告者がこれまで取り組んできた日米両国のIRに関する研究を概観するとともに、現在、実践している事例の紹介等を通じて、大学教育の改善においてIR に「できること」「できないこと」が何なのかを明らかにし、IR が果たせる役割やIRを機能させる要因等について、参加者とともに検討したい。


■ 講演要旨

Institutional Research(IR)への関心の増大に伴い、日本の大学においてもIR部署の設置が加速している。 文部科学省高等教育大学振興課大学改革推進室が平成26年度に実施した「平成25年度の大学における教育内容等の改革状況について(概要)」によると、「IR組織(専門の担当部署)を設置している」と回答した大学数は、平成23年度の56大学(全体の7.4%)が、平成25年度には96大学(全体の12.6%)に増加している。

一方、IRについては、IR先進国である米国においても、依然、定義は確立されていない。 国内外の既存研究において最も引用されているSaupe(1999)によると、IRは「機関の計画立案、政策形成、意思決定を支援するための情報を提供する目的で、高等教育機関の内部で行われる調査研究」として定義されている。 このことは、藤原(2015)が米国の複数のIRオフィスのミッションを対象にしたデータマイニングで裏付けられ、IRの役割は「意思決定の支援」、「課題解決や企画立案のための情報提供」であることが浸透している実態を紹介した。

次いで、米国のIRの現状について、Swing(2016)及びAIR(2016)を参照しつつ、報告者がこれまで米国で実施してきたIR部署に対する訪問調査の結果を交えて概観し、その後、日本のIRの現状、さらには日米を取り巻くIRの環境を整理した。 そのうえで、大学教育の改善に向けてIRにできることを、報告者の所属機関における実践事例を通じて報告した。具体的には、IRデータの活用と、アセスメントに係る枠組みの整理や体制整備等に係る各種の支援業務である。

現状、日本の多くの大学において、定員充足率や就職率等のIRデータは、米国とは異なり、良好な数値となっている。 故に、大学教育の改善に向けた駆動力になりにくい。 一方、これまで日本の大学において手薄であった教育プログラム単位でのアセスメントは、大学教育の改善(または質の向上)において、重要、かつ新たな情報をもたらしてくれることを米国の先行事例が示している。 こうした前提の下で、まだ緒に就いたばかりの取組ではあるが、実践事例の紹介を通じて、IR が果たせる役割やIRを機能させる要因等について、参加者とともに討議した。

申し込み方法
  本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
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