第137回招聘セミナー 学生に質の高い学びを保障する大学教育のあり方 三羽 光彦 氏 芦屋大学・教授 2016年11月11日(金)16:00~18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
開催案内
第137回招聘セミナー
- 講演題目
- 学生に質の高い学びを保障する大学教育のあり方
- 講演者
- 三羽 光彦 氏
- (芦屋大学・教授)
- 日時
- 2016年11月11日(金)16:00~18:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
講演概要
今日、大学はきわめて多様化してきている。しかし一方では、青年期教育としての共通性を持つようになってきている。学生の体験や読書量は減少し、教員はせまい学問領域に閉じこもりがちである。さらに日本の大学と中等教育は歴史的に問題を抱えてきている。大学のカリキュラムと授業を改善することにより、そうした構造的課題にどう挑戦するのか。アクティブ・ラーニングや質保障の論議に落とし穴はないのか。それらを考察したい。
講演要旨
今日、大学はきわめて多様化してきている。学生の体験や読書量は減少し、教員はせまい学問領域に閉じこもりがちである。さらに日本の大学と中等教育は歴史的に問題を抱えてきている。大学のカリキュラムと授業を全体として改善することにより、そうした構造的課題にどう挑戦するのか。それは大学教員の自己教育の問題(大学教師論)でもある。
日本の大学と科学は遺伝的ともいうべき問題点を抱えている。科学は、19世紀にヨーロッパでいっきに実用的なものとして発展した。その時期に、もっぱら国家のための技術として科学を日本は大学を通して表面的に輸入した。そして大学は帝国の大学として「国家ニ須要ナル学問」の教育と研究をする機関とされた。戦後の大学ではリベラル・アーツないしは一般教養の重視が標榜されたが、日本にはヨーロッパでいうリベラル・アーツの伝統はなく、教養も精神的柱のない西洋輸入の「教養主義」的なものでしかなかった。むしろ日本人固有の教養の伝統は大学外の「修養」というカテゴリーに豊かに見られた。
ではいま、大学の教育課程をどのように考えいかに再構成すべきであるのか。残念ながら日本では教育課程の全体像を考察する高等教育課程研究の蓄積が極めて乏しい。そんななかで現在当然とみなしていることも再検討する必要があろう。例えば、旧制高等学校以来常識とされていた大学準備教育の文理分けというあり方は時代遅れではないか。高校までの中等教育をもっと豊かな教養教育として再構成するべきではないか。市民性を養う普通教育をもっと重視すべきではないか。専門教育の基礎は学史をその柱とすべきではないか。研究指導における研究方法論の教育を強化すべきではないか。社会と結びついた体験や実習の導入をもっと豊かに進めるべきではないかなどである。
そうした改革の際重要となるのが、世界認識の共通基盤を形成するための現代のリベラル・アーツと現代知識人のリテラシーとでもいうべきものの構築であろう。良識ある市民の育成、知識や教養だけでなく実践力や感性をも備えた知識人の育成、そのための教育機関として大学がどうあるべきか、その探求が大学人として今求められているのである。
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