第147回招聘セミナー
ラーニングアナリティクスの活用による
大学教育の未来像
緒方 広明 氏
京都大学学術情報メディアセンター・教授
2018年2月22日(木)15:00~17:00
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
開催案内
第147回招聘セミナー
- 講演題目
- ラーニングアナリティクスの活用による大学教育の未来像
- 講演者
- 緒方 広明 氏
(京都大学学術情報メディアセンター・教授) - 日時
- 2018年2月22日(木)15:00~17:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
講演概要
大学教育におけるデータ活用の重要性が高まる中、注目を浴びるキーワードの一つに「ラーニングアナリティクス」がある。eラーニング等によって蓄積される学習データを教育改善に活かす研究および実践として、現在進行形で発展を続ける領域である。
本講演では、ラーニングアナリティクスの活用による大学教育の未来像を考える契機として、学習活動のログ分析を用いた学習支援等の研究、及び京都大学や九州大学での実践と、それらを踏まえた未来像について紹介する。
講演要旨
Learning Analytics(LA)とは、「情報技術を用いて、教員や学生からどのような情報を獲得して、どのように分析・フィードバックすれば、どのように学習・教育が促進されるか?」を研究する分野である。LAの取組は、米国、英国、ノルウェイ等で進んでおり、エビデンスも蓄積されている。たとえば、Maryland大学では、LMSを利用する低い成績の学生の割合は40%である(良い成績の学生はLMSを利用している)との知見が得られている。Marist大学では、At-risk学生の介入によって最終成績が6%上昇した、との取組があった。New York Institute of Technologyからは、ドロップアウトした74%の学生がシステム上で予測できた、との報告が出されている。
Learning Analytics(LA)とは、「情報技術を用いて、教員や学生からどのような情報を獲得して、どのように分析・フィードバックすれば、どのように学習・教育が促進されるか?」を研究する分野である。LAの取組は、米国、英国、ノルウェイ等で進んでおり、エビデンスも蓄積されている。たとえば、Maryland大学では、LMSを利用する低い成績の学生の割合は40%である(良い成績の学生はLMSを利用している)との知見が得られている。Marist大学では、At-risk学生の介入によって最終成績が6%上昇した、との取組があった。New York Institute of Technologyからは、ドロップアウトした74%の学生がシステム上で予測できた、との報告が出されている。
各大学でLAを始めようとする場合には、次の4つの点を決める必要があるだろう。一つ目は、目的を決める(学生の学習時間の把握、理解度の把握、単位を落としそうな学生の発見など)ことである。二つ目は、どこからどのようなデータを取得するか(LMS、MOOCS等)を決めることである。三つ目は、データを取得する授業を決める(自分の授業、学科・学部全体、大学全体)ことである。四つ目は、分析結果をフィードバックする内容を決めることである。日本でLAを進めていくための今後の課題としては、コミュニティの構築、エビデンスの共有、LA policyの策定、海外の事例集の作成、データを蓄積しやすい情報環境の提供(教員負担をできるだけ少なくする)、データ共有のためのセマンティクスやコンテキストの共通化、などがある。特にLA policyを考える上では、取得するデータと利用目的を明確すること、目的外に利用しないこと、データをしっかりと管理すること、匿名化などの処理を適切に行うこと、分析結果を教員評価や成績と関連づけない(なぜなら、データが全ての学習・教育プロセスを表すわけではないから)こと、等を明らかにすることが有用であろう。
まとめとして、LAにおいてまずもって大事なことは、システムを導入して、データを元に、日々の教育現場でPDCAサイクルを回し、エビデンスを残し、教育の改善が行える環境を提供することであると考える。LAは、まだまだ研究が始まったばかりの分野である。早急に結果を求めるのではなく、様々な角度から捉えていくことが必要だろう。
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- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
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