名古屋大学 高等教育研究センター

第148回招聘セミナー 最近の学生の傾向と支援の方法
-聴くこと、関わること、つなぐこと
桐山 雅子 氏 中部大学・名誉教授/元学生相談室カウンセラー 2018年5月31日(木)15:00~17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第148回招聘セミナー

講演題目
最近の学生の傾向と支援の方法-聴くこと、関わること、つなぐこと
講演者
桐山 雅子 氏
(中部大学・名誉教授/元学生相談室カウンセラー)
日時
2018年5月31日(木)15:00~17:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

「最近の学生は何を考えているかわからない」「どう対応してよいかわからない」と戸惑う方も多いと思います。この20年ほどの間に大学を取り巻く環境のみならず社会全体が大きく変化し、人の育ちにも以前とは異なる側面がみられるようになりました。学生相談室カウンセラーとしての体験を基に、最近の学生の特徴、心の中で思っていること、対応のコツ、基本的考え方と関わり方等についてお話し、ご一緒に考えたいと思います。


■ 講演要旨

この20年ほどの間に大学も社会も大きく変化し、人の育ちにも以前とは異なる面がみられるようになった。しかし学生相談室で観察していると、「どうせ自分なんて」と悲観的なことしか言わない若者たちの心の奥に「自分の人生を素敵に生きたい」という切なる願いが隠れており、それを理解した上での対応が求められる。

発達的な視点から見ると、今の若者の思春期から青年期後期に向かっての内的な成長の積み重ねが順調に進んでいないことが懸念される。社会に出ていくには、この年代にふさわしい①言葉の力、考える力、悩む力 ②アイデンティティの形成 ③他者とつながる力が獲得されていることが不可欠である。これら3つは関連しあった能力であり、まずは自分の心を語る言葉の力を育てることが緊急の課題である。

言葉を育てるには、話を聞いてくれる他者の存在が不可欠である。今の日本では「話す」に較べ「聞く」は軽視され、その価値は正しく評価されていない。その結果「聞き上手」が減り、若者ばかりでなく大人も含めて社会全体の言葉の力が低下している。言葉が貧困なので、考える力、悩む力が育たず、自己形成が進まず、人間関係も作れないという悪循環が広がっている。

「聞くスキル」には「あいづち」「繰り返し」「質問」「明確化」等々がある。これらのスキルは育つ過程で自然に身につくものと考えられていたが、今では身につけないままに成長する場合も少なくない。最近は会話が続かない場合も多いので、学生と関わるには、会話のキャッチボールを続けることが重要である。特に「繰り返し」を使うことで、相手を受容し、共感していることを伝え、キャッチボールを続けることができる。自分では「聞いている」と思っていても、「話の内容は理解しているが相手の気持ちは受け入れたくない」という場合もあるので注意しなければならない。大人モデルの少ない現代社会では教職員一人一人が人生の先輩であり、若者は大人の知恵や助けを求めている。

最後に、聞くことは辛いことであるので、適度な距離を保ち、抱え過ぎず、仲間や上司や他部署と連携するなど、自分のペースを守りつつ無理せず学生との関係を続けることが重要である。

申し込み方法
  本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
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