名古屋大学 高等教育研究センター

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第94回客員教授セミナー 台湾における高等教育の質保証制度
-大学評価制度の整備と方法改善-
楊 武勲 氏 台湾・国立曁南国際大学教育学院・教授 2019年2月14日(金)15:00~17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第94回客員教授セミナー

講演題目
台湾における高等教育の質保証制度
-大学評価制度の整備と方法改善-
講演者
楊 武勲 氏
(台湾・国立曁南国際大学教育学院・教授)
日時
2019年2月14日(木)15:00~17:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

台湾では、高等教育機関が急増する中で、1975 年に政府は大学評価制度を発足させた。2005 年には新たに財団法人・高等教育評価センターを設置し、本格的な大学評価制度を整備した。新制度により厳格な評価が実施されたが一部で評価疲れを招いた。教育省は、2017 年に制度の一部改正を行い、所定条件を満たした大学には自己評価を中心に行うことを認めた。本セミナーでは、大学評価における政府と評価機関の役割や教育の質保証の効果等について明らかにする。

■ 講演要旨

台湾では、1970年代に高等教育機関が急増する中で、政府は独自の評価制度を発足させた。1975年より教育部の主導による専攻分野の試行的な評価が行われたが、評価方法や指標が統一されていなかったり、経費や人手不足で中断されたりした。1994年の大学法改正によって、私立高等教育増設の規制緩和の政策とともに、教育部主導による大学評価制度の法的根拠も確立された。

上記の規制緩和によって、私立高等教育機関への公的補助金の増額、低金利で政府国営会社の土地の貸し出しによって、多くの私立高等教育機関が増設された。また、公・私立を問わず、「専門学校」(二年制・五年制)から「技術学院」(日本の四年制単科大学に相当)、「技術学院」から「科学技術大学」への昇格運動が盛んになった。このように、教育の質保証の手段として、教育部が大学評価のガイドラインを作った。そこで政府補助金を受け、2001-2002年に34大学が自己評価を実施した。また2004-2005年に78大学が全学的評価と分野別評価の両方を焦点とした「機関別評価」が実施された。

2005年に大学法改正によって、財団法人高等教育評価センター基金会が四年制大学の評価を行い、社団法人台湾評価協会が職業高等教育機関の評価を実施する本格的な大学評価制度を整備した。また、医学・ビジネス・工程などの分野別では教育部の認めた別の評価機関による評価も実施された。四年制大学評価を見れば、二期の学科(研究科)評価(第1期は2006~2011年、第2期は2012年~2016年)が先行に行われ、二期の機関別評価(第1期は2011~2013年、第2期は2017年~2018年)が実施された。

このように新制度により厳格な評価が実施されたが、一部で評価疲れと批判を招いた。特に評価結果と政府補助金の多寡と入学定員削減とのリンクの案、評価委員の質の問題、同一評価基準・指標による問題性が挙げられた。上記の問題に鑑み、2017年には政府は制度の一部改正を行い、所定条件を満たした大学には自己評価を中心に行うことを認めた。その結果、大学と教育部の間の緊張感が緩和され、評価機関の役割が評価の「実施者」から「協力者」へ転換した。例えば、評価実施の前に、受審される大学の教員・職員を対象とした説明会を開くこと、評価の基準・指標の設定が評価機関と大学の相談によって決定されることなどが挙げられる。このように持続的な大学評価の実施によって、大学で質保証の文化を定着させることが期待されるが、学生入学人数の確保と外国人留学生受け入れの視点を見れば、これから大学の情報公開があり方と評価機関の国際間の連携がより一層注目される。

申し込み方法
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お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
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