第169回招聘セミナー
第12回「アドミッション担当教職員支援セミナー」
大学入試センター試験の課題と
ポスト新入試への期待
大塚 雄作 氏
京都大学名誉教授/大学入試センター名誉教授
2019年7月04日(木)15:00-17:00
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
開催案内
第169回招聘セミナー
第12回「アドミッション担当教職員支援セミナー」
※ 会場の定員に達したため、申込受付を終了させていただきました
- 講演題目
- 大学入試センター試験の課題とポスト新入試への期待
- 講演者
- 大塚 雄作 氏
(京都大学名誉教授/大学入試センター名誉教授) - 日時
- 2019年7月04日(木)15:00-17:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
講演概要
「大学入試センター試験」は 2020 年 1 月実施をもって終了する。2021 年度大学入学者選抜からは、「大学入学共通テスト」、および、それを含む新たな入試制度が、さまざまな課題がメディアで指摘されながらも、始められていくことになる。そこで、センター試験の課題は何であったのかを改めて整理し、それを解決するために、近未来において、どういう大学入試を実現していくべきかという点について、一歩先んじて提言を試みることとしたい。
講演要旨
「大学入試センター試験(センター試験)」は2020年1月の実施をもって終了し、2021年度大学入学者選抜からは、「大学入学共通テスト(新テスト)」が共通試験として開始される。既に、新テストの試験問題は今年度から作成が始まっているが、今の時期に至っても、新テストに関するさまざまな不安がメディアなどに取り上げられたりもしている。新テストの理念自体は一般的には歓迎されている風潮もあるなかで、そのくすぶりが今もって見られるのは、入試関係の多くの専門家がそれぞれの専門的知見から懸念の声を上げてきているにもかかわらず、それがまったく解消されないまま、政治・行政主導の強引な入試改革が進められてきているからに他ならない。本来であれば、その流れを阻止しなければ、渦中に巻き込まれる受験生がさまざまな不利益を被ることになるのは必定であるが、最早、それは至難な状況に至っていると言わざるを得ない。
しかし、どの専門家も、新テストがさまざまな問題を抱えているからと言って、現行のセンター試験に戻せと言っているわけではなく、センター試験にも課題があり、それらを解決する必要性のあることは的確に認識しているところである。むしろ、それらの課題が捉えられていないままでの強引な改革は、その理念をも壊しかねないことを危惧しているのである。例えば、センター試験は知識偏重としばしば言われるが、既に、思考力・応用力が求められる問題作成が要請されており、多くの受験生にとっては単なる知識問にとどまらない「良問」も出題されてきている。にもかかわらず、新テストでは、「思考力・等」をより評価する試験にすることが敢えて掲げられ、問題の形式を複雑にして「思考力」を問うような見せかけの問題が推奨されるなど、本来求められる「思考力」から外れていくのではといった懸念が拭いきれないのである。
だからと言って、センター試験に課題がないわけではなく、我が国の大学入試文化の下での共通試験という他に類をいない特殊性の下で、それらの課題の解決に立ち向かっていく必要は残されている。その解決のためには、試験そのものをあれこれいじくるよりも、試験制度、教育制度といった、試験を取り巻く大学入試風土のレベルにおける改革を試みていくことがまず求められることになろう。また、そうした入試改革が動き出したときに、それがどういう影響をもたらすかは常にモニターされるべきであり、そのためには、入試に関わる透明性を増すことを通して、高校、大学、大学入試センター等の連携による、入試研究に関わる共同研究体制の整備が望まれることになるであろう。そうした外堀が埋められることによって、地に足が着いた次なる入試改革の到来を期待したいと思う。
- 申し込み方法
- 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-3534
- (セミナー専用)
- 本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
- 諸連絡
- ※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。
- ※ご来場の際には、できる限り公共交通機関をご利用くださいますようお願いいたします。構内駐車された場合の用務証明書発行はいたしかねますので、ご了承ください。