名古屋大学 高等教育研究センター

第97回客員教授セミナー
第14回「アドミッション担当教職員支援セミナー」
公立進学校卒業生たちの
高大接続とキャリア
濱中 淳子 氏 早稲田大学教育・総合科学学術院 教授 2019年10月24日(木)15:00-17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第97回客員教授セミナー
第14回「アドミッション担当教職員支援セミナー」

※ 会場の定員に達したため、申込受付を終了させていただきました
講演題目
公立進学校卒業生たちの高大接続とキャリア
講演者
濱中 淳子 氏
(早稲田大学教育・総合科学学術院 教授)
日時
2019年10月24日(木)15:00-17:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

「進学校」と呼ばれる高等学校の卒業生たちは、どのような大学時代を送り、どのように働いているのか。本報告は2つの公立進学校の卒業生を対象に実施した調査の分析から、以上の問いに迫るものである。報告者は私立進学校(男子校)の卒業生調査を分析した経験を持つが(『「超」進学校開成・灘の卒業生』)、本報告ではその知見をベースに、公立だからこその特徴や女子の特徴がどこにあるのかという点についても検討を加えることにしたい。

■ 講演要旨

働き方を規定する要因については、教育社会学や労働経済学といった領域で検討が行われてきた。しかし他方で、在学時代の経験まで含めた分析が試みられたことは少なく、対象についても、トップ層に焦点があてられることはほとんどなかった。

こうしたなか、報告者は以前、中高一貫の私立進学校で卒業生調査を実施し、中高時代の経験と働き方の関係を明らかにしたことがある。本報告ではその延長上の議論として、公立進学校卒業生の実態を示したい。「役職」や「年収」といった指標でみたとき、公立進学校卒業生たちはどのような働き方をしているといえるか。「高校の経験」と「大学の経験」それぞれの影響ならびに両者の関係性をどう理解すればいいか。女子の実態はどのようなものか。私立進学校との比較を通じて得られた知見は、以下の四点に集約される。

第一に、公立進学校卒業生(男子)の年収・役職は、私立進学校卒業生たちのそれに比べてやや低いものの、かなり高い位置に分布している。関連して「能力」の回答分布をみると、高校卒業時に公立進学校卒業生と私立進学校卒業生との間でみられた開きが、大学卒業時までにほぼ解消されているという結果が抽出される。こうした大学時代の成長も関係しての年収ならびに役職分布だと考えられる。

しかし第二に、公立進学校卒業生と私立進学校卒業生とでは、年収や役職の向上をもたらす要因に違いがある。つまり、公立進学校卒業生は、大学時代の経験や人脈を活用しながら活躍の程度を増している一方で、私立進学校卒業生の活躍は中高時代に培ったもの、あるいは自らの学習力に支えられていた。結果として、私立進学校卒業生の成長や活躍は「みえにくいもの」「理解しにくいもの」になっているといえるのではないか。

第三に、公立進学校卒業生には、高校―大学と接続した学びがさらに仕事への意欲に繋がるというパスが目立つのに対し、私立進学校卒業生たちの意欲は、大学時代にいったん下がる傾向が見出せる。ここに私立進学校のレベルの高い学びを経験した学生たちを惹きつけることができない大学側の課題を指摘することもできる。

第四に、公立進学校を卒業した女子については、在学時代のリーダー経験やその時代に得た人脈ではなく、有名大学を卒業したか否かが年収・役職を強く規定していることが見出された。いまだに学(校)歴が大きく影響する社会に置かれている女子の姿が指摘される。

申し込み方法
 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
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諸連絡
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