第175回招聘セミナー
フランスの大学における
留学生募集戦略と修学支援
Yamina Bettahar 氏
フランス ロレーヌ大学 アンリ・ポワンカレ人文社会科学研究所 准教授
2019年10月30日(水)15:00-17:00
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
開催案内
第175回招聘セミナー
- 講演題目
- フランスの大学における留学生募集戦略と修学支援
- 講演者
- Yamina Bettahar 氏
(フランス ロレーヌ大学 アンリ・ポワンカレ人文社会科学研究所 准教授) - 日時
- 2019年10月30日(水)15:00-17:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
講演概要
フランスは、留学生の受け入れに熱心で、同国内の留学生数はアメリカとイギリスに次いで多い。これは世界中から優秀な学生を募集するために、フランスの大学が外国人にとって魅力を高めるための努力を継続的に行っている結果である。その戦略とは具体的にどのようなものか、彼らの修学を支援するために政策レベルと各大学レベルでどのような方策を講じているのかを明らかにする。
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使用言語:英語
講演要旨
本講演では、フランスの高等教育における留学生受け入れや授業料をめぐる政府の政策の動向とそれをめぐる議論の概要を紹介した。
フランスには、多種多様な高等教育機関がある。大学は学生総数の約6割を占めるなど規模の点では最大の機関である。大学は多くの特徴がある。①授業料を徴収せず、「学生登録料」の名目で少額を徴収する、②バカロレア資格(高卒修了時の国家試験合格で取得)を取得した学生は原則無選抜で入学できる、③他の選抜制教育機関の入学者選抜に失敗した学生等多様な学生を受け入れており、④入学後半数程度は留年・中退をしている。
フランスの大学も世界大学ランキング等で国際競争に巻き込まれており、優れた研究成果の発表、優秀学生の輩出等が課題とされている。競争力向上に向けて、大学間の統合、教育改善等の施策が進められている。また、優秀な留学生の獲得も重要施策である。
フランスは留学生受け入れでは世界第4位、英語圏を除けばドイツに次いで第2位の位置にある。留学生数は全体で32.4万人、うち24.5万人が学士課程修了後に留学している(2016年)。フランスの場合には、歴史的経緯からアフリカ諸国、とくに北アフリカの3国マグレブ諸国からの留学生が多いが、アジア・オセアニアからの留学生も少なくない。
近年、高等教育進学者の増加が続いており、いくつかの問題が発生している。その一つは予算問題である。政府の高等教育予算は乏しいうえに、大学は少額の学生登録料のみ徴収のため、各大学とも厳しい財政運営を余儀なくされている。施設・設備や学生の修学条件の面で多くの課題を抱える。対策として、政府は、学生登録料の引き上げを打ち出した。2018年まで学士170ユーロ(約2万円)、修士243ユーロ、博士380ユーロであり、留学生も同様である。2019年からそれぞれ学士2770ユーロ、修士と博士各3770ユーロに引き上げる方針を発表した。これは留学生向けであり、フランスおよびEU加盟国の学生に対しては据え置くというものである。これにより、将来的に留学生の勉学・学生生活の環境改善を図るというのが目的の一つとされている。
政府は、優秀な留学生の受け入れ促進を掲げる一方で、大学の財政事情改善も必要になっており、いわばジレンマの状況にある。この政府の措置に対して、国立大学全体の約3分の1にあたる25大学で反対意見が表明されている。このような状況で、今後政府がどのような方針を打ち出すのか予断を許さない状況である。
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