第180回招聘セミナー URAの多能性を再考する 玉井 克幸 氏 埼玉大学研究機構URAオフィス 主任URA 2020年01月23日(木)15:00-17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
開催案内
第180回招聘セミナー
- 講演題目
- URAの多能性を再考する
- 講演者
- 玉井 克幸 氏
(埼玉大学研究機構URAオフィス 主任URA) - 日時
- 2020年01月23日(木)15:00-17:00
- 場所
- 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ
講演概要
講演者はURAとして、これまで約10年にわたり、大規模および小規模研究大学でプロジェクトの企画・立案からそのマネジメントや、各種申請書作成の支援などに関わってきた。またこの間、ファンディングエージェンシーで経験を積む機会にも恵まれ、URAを大学の外側から俯瞰することもできた。
本セミナーでは、日々のURAとしての実践において、あるいは、他大学のURAとの議論を通して感じてきたことを基に、参加者とともに日本のURA、そしてこれからのURAについて様々な観点から議論したい。
講演要旨
日本におけるURAは、2011年に文部科学省「リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備」事業により本格的にスタートした。URAが導入された背景として、1990年代後半からの産学官連携の促進や、2000年代前半から始まった基盤的経費の削減と競争的資金の激増、また大学教育の質の向上・充実化の議論により、研究活動以外の負担が過度に生じていたことが挙げられる。そのため導入当初URAは、「大学等において、研究者とともに(専ら研究を行う職とは別の位置づけとして)研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行う(単に研究に係る行政手続きを行うという意味ではない)ことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する人材」(文部科学省)、つまり研究者をサポートする人材として定義された。
本セミナーではまず、URAが導入されおよそ10年が経った今、改めてURAの位置づけを整理することを試みた。すると、文部科学省は「研究力向上改革2019」でURAを「チーム型研究体制の一員」と表現するなど、単なる支援人材ではなく研究開発マネジメント・研究力強化に必須の専門家としてとらえていることが分かってきた。また、大学執行部においても、単に競争的資金獲得や知財・産学連携の管理・活用を支援する人材という当初の人材像に加え、IR機能による大学評価の向上、間接費や共同研究費に象徴される財源確保といった大学経営・運営の最重要課題に関わる人材として、より多様な能力(多能性)をURAに期待していることが見えてきた。
次に、URAがその多能性を発揮し、イノベーティブな研究開発マネジメントを進めるための組織としてどのような形態が可能かを議論した。ボストンコンサルティンググループのロシオ・ロレンツォ氏のチームによる調査結果を援用すれば、URA組織においてもダイバーシティを維持することが重要であろうし、さらに福井大学の山口光男氏が『大学リサーチ・アドミニストレーション組織に関する理論研究』で考察するように、アドホクラシー(Henry Mintzberg, 2007)という組織形態がヒントに成り得ることを議論した。
最後に、最近のURAにまつわるトピックスとして、URAの質保証と認定制度の議論やその課題について参加者と共有した。
URAの存在意義や期待が大きくなり、多能性が求められる中、いかにURA組織およびURA個人が多能性を確保・維持し、またそれを発揮するか、今後は論理の考察とともにその実践も必要である。
主な参考文献
1. ダイバーシティとイノベーションの関係に関する考察
『組織の多様性はどこで、どのように業績を高めるのか』 ロシオ・ロレンツォ,マーティン・リーブス, ボストンコンサルティンググループ, HBR.ORG翻訳マネジメント記事, 2018.03.16
2. URA組織とアドホクラシーに関する考察
『大学リサーチ・アドミニストレーション組織に関する理論研究』 山口光男, 福井大学総合戦略部門研究推進室, J. Jpn Soc, Intel, Prod, Vol.12 No.2, 2016
- 申し込み方法
- 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-3534
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