第188回招聘セミナー
学習者と指導者の双方の成長を促す評価技法
-教育的ドキュメンテーションを取り入れた保育実践ー
白石 淑江 氏
愛知淑徳大学福祉貢献学部 教授
2020年9月28日(月)15:00-17:00
開催案内
第188回招聘セミナー
- 講演題目
- 学習者と指導者の双方の成長を促す評価技法
-教育的ドキュメンテーションを取り入れた保育実践ー - 講演者
- 白石 淑江 氏
(愛知淑徳大学福祉貢献学部 教授) - 日時
- 2020年9月28日(月)15:00-17:00
講演概要
探究的学習では、学習者が学習を通じて得られた考えや生じた問いを考察する省察が重要である。高等教育でもポートフォリオ評価等の形で取り組みが進んでいるが、 eポートフォリオなど形式面ばかりが注目され、学習者の省察や指導者の関わり方が十分に議論されていない。一方、幼児教育の分野ではドキュメンテーションとして、指導者が子どもの活動プロセスを観察し、何に子どもの好奇心が注がれているか、子どもが何を考えているか、どんな疑問や挑戦が生まれたかを、子どもや同僚との対話を通して問い、考察して探究を深めていく指導技法がある。本セミナーは、ドキュメンテーションにおける指導者の関わりや求められる専門性に注目し、幼児教育における知見を参考にしながら、学習者主体の学習を実現する方法について考えたい。
本セミナーは ZOOM によるオンラインで開催します。オンライン参加が可能であることをご確認の上でお申し込みください。
オンライン参加の要件等
・カメラ・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。
講演要旨
教育的ドキュメンテーションとは、子どもの言葉や活動の様子を写真や映像に収め、活動の中で起こっていることを視覚化した記録である。子どもの描画や制作物も、活動の痕跡が残る記録としてドキュメンテーションに含まれる。ドキュメンテーションには、大きく3つの役割がある。第1に、子どもが活動から学ぶことをより広く、深くすることができる。子どもは自分が達成したことの意味を見つめると、好奇心、興味、自信をより抱くようになるためだ。第2に、子どもが幼児学校で経験したことを親が深く理解することを可能にする。第3に、指導者が子ども一人ひとりについての気づきを深め、実践方法の創造、調整、改善の基礎となる。
ドキュメンテーションはポートフォリオ評価の一種と捉えることができるが、設定された学習成果を目指すツールではない。ドキュメンテーションは、子どもの活動や学びを可視化した記録としての役割もあるが、むしろドキュメンテーションを資料として開かれた対話を促進するためのツールである。対話は、子どもと指導者、子どもと保護者、指導者と保護者の三者をつなぐことに加え、子ども同士、指導者同士の対話が含まれる。ドキュメンテーションは、対話を通じて経験の意味づけ・意味生成を重視する点に特徴がある。
ドキュメンテーションを単に指導のツールと捉えるべきではない。子どもたちが興味や関心をもったことから始まる活動を中心に指導を創造するべきだ。多くの指導者は年間や月間の保育計画を立案し、計画に沿って子どもたちを活動に参加させる。しかし、指導者中心の活動では、子どもたちの観察力や探究心の促進は難しい。子どもたちの日常における身近な環境の中で関心を寄せたものを可視化し、対話の中で反応を探り、関心の焦点を絞った探究活動が重要である。子ども主体の遊びや学びを援助できる指導者の育成と能力開発が今後の課題と言える。
- 申し込み方法
- 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
- 定員
90名(申込締切 9月14日)
- 参加方法
後日参加申込された方にお知らせします。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-3534
- (セミナー専用)
- 本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
- 諸連絡
- ※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。