名古屋大学 高等教育研究センター

第189回招聘セミナー 外国人留学生の学修・キャリア形成支援にいかに取り組むか 太田 浩 氏 一橋大学全学共通教育センター 教授 2020年10月15日(木)15:00-17:00

■ 開催案内

第189回招聘セミナー

講演題目
外国人留学生の学修・キャリア形成支援にいかに取り組むか
講演者
太田 浩 氏
(一橋大学全学共通教育センター 教授)
日時
2020年10月15日(木)15:00-17:00

講演概要

「留学生30万人計画」は大学の国際化を推進するというだけでなく、留学生をグローバル化する経済への対応、労働人口減少への対応、企業の海外展開などに必要な人材としてとらえている面が強い。30万人という数値目標は達成されたが、留学生を高度外国人材として育成し、日本に定着させるという目標が達成できているとは言い難い。留学生受入れ政策の課題を通して、留学生の学修・キャリア形成支援にどう取り組むかを考えたい。


本セミナーは ZOOM によるオンラインで開催します。オンライン参加が可能であることをご確認の上でお申し込みください。

オンライン参加の要件等
・カメラ・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。

■ 講演要旨

知識基盤型経済への移行とグローバル化が急速に進む中、優秀な外国人留学生の獲得と卒業後の定着が、国の経済力を左右すると言っても過言ではない。少子化と高齢化で生産年齢人口が今後急速に減少する日本において、社会と経済を支える質の高い人材を海外から積極的かつ継続的に誘致することは喫緊の課題である。そして、誘致した留学生が、日本の教育機関で学び、卒業後は日本の企業に就職し、定住につながるような仕組みを産官学で連携して作ることが求められている。先進国を中心に多くの国々が数値目標を掲げた留学生政策を展開しており、世界の人材獲得競争は激しさを増している。日本はアジアで最初に国策としての留学生政策(10万人計画)を立ち上げ、その達成後には、府省間を跨ぐ高次な政策として留学生30万人計画を推進してきた。

留学生30万人計画は、日本経済の復興、グローバル化する経済への対応、日本企業の海外展開に必要な人材、そして少子高齢化による労働人口減少への対応として留学生を捉えている面が強く、経済主導の受入れ政策と言える。そのため、留学生の卒業後の日本国内での就職支援が重要な施策になっている。2019年、留学生総数は31万人強となり数値目標は1年前倒しで達成された。しかし、高度外国人材を育成し日本に定着させるという目的を達成できたとは言い難い。30万人計画で増加した留学生の過半数は大学の在学者ではなく、日本語学校・専門学校の在学者である。そして、①留学ビザを利用して就労しようとする外国人、②定員未充足を留学生の受入れで解決しようとする大学や専門学校、または過度に営利優先の日本語学校、③単純労働者の人手不足を留学生のアルバイトで解決しようとする企業の三者の思惑と利害が一致して「出稼ぎ(偽装)留学生」が増加し、社会問題となっている。これは10万人計画時代にも起こり、30万人計画でも繰り返されたことから、ポスト30万人計画に向けた大きな政策課題となっている。

欧米の留学生受入れ先進国に追いつくべく、数値目標ありきの政策を掲げ、その達成が優先されることにより、現場で起きている問題が見過ごされてきた点は否めない。今、求められているのは、留学生を人材としてだけでなく、人として受入れる視点、即ち、留学生と日本人学生が共に学び生活することや、地域で留学生と住民が共生することの意義と方策の理解を深め、政策と実践に生かすことであろう。

申し込み方法
 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
定員
90名(申込締切 10月1日)
参加方法
後日参加申込された方にお知らせします。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。
案内用ポスターPDFPDF

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