名古屋大学 高等教育研究センター

第192回招聘セミナー ウィズコロナ時代の学⽣⽣活をいかに⽀援していくか ⾼野 明 氏 東京⼤学相談⽀援研究開発センター 准教授 2020年12月3日(木)15:00-17:00

■ 開催案内

第192回招聘セミナー

講演題目
ウィズコロナ時代の学⽣⽣活をいかに⽀援していくか
講演者
⾼野 明 氏
(東京⼤学相談⽀援研究開発センター 准教授)
日時
2020年12月3日(木)15:00-17:00

講演概要

新型コロナウイルス感染症の感染拡⼤によって、⼤学⽣の⽣活は、学業や課外活動をはじめとしてあらゆる⾯で⼤きく変化した。本講演では、感染拡⼤がもたらした学⽣⽣活の変化とその影響について整理し、学⽣相談の実践の中から明らかになってきた、コロナ禍における学⽣の悩みごとについて概観したい。その上で、⼤学としての学⽣⽣活⽀援のあり⽅について論じてみたい。


本セミナーは ZOOM によるオンラインで開催します。オンライン参加が可能であることをご確認の上でお申し込みください。

オンライン参加の要件等
・カメラ・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。

■ 講演要旨

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、大学生の生活は、学業や課外活動をはじめとしてあらゆる点で大きく変化した。各大学の学生相談機関は、コロナ禍の中での学生生活をサポートするために、オンライン相談の導入等、それぞれの状況に応じた相談活動を展開している。

学生相談機関に寄せられる学生の相談内容には、大学コミュニティが抱える課題や学生生活のありようが反映される。今年度の相談内容を月別で見ていくと、4月には、緊急事態宣言による自粛生活の開始と、授業のオンライン移行に混乱する様子が反映されたものが多かったが、その後、在宅での学業継続の難しさや進路・就職の話題が増えていき、7月頃には、期末の試験やレポート課題に対する不安が語られるようになった。学業が一段落した夏休みの時期には、自己や対人関係についての相談が多くなり、さらに、後期の授業が始まった9月以降は、再び自己の内面についての話題が増え、「やる気」や「怖い」といった言葉が多くなり、長期化するコロナ禍の学生生活への影響が学生の心の問題に反映されていることが示唆された。

また、相談内容を学年別に見ると、1年生の相談内容には、オンライン授業やクラスの対人関係、孤独感に関する話題が多く見られ、学年が上がっていくにつれて、学業や対人関係をどう維持するかというテーマの相談が増えていき、4年生になると、進路・就職や卒業論文の話題が、さらに、大学院生では、研究の遂行や指導教員との関係等の話題が多くなっていた。感染拡大の影響は、学生期の学年ごとの心理的課題に対応した現れ方をしていると見ることができる。

感染拡大の影響は、学生生活のあらゆる面に変化をもたらした。学業面では、オンライン授業の導入により、キャンパスで他の学生と一緒に学ぶということがなくなった。対人関係面では、課外活動やアルバイトができず、つながりが作りにくくなって孤立する学生が増えたり、家族との摩擦が生じたりという問題が生じている。進路決定や就職活動に関しては、就職活動が例年と異なるスケジュールや形式になり、また、経済的な理由等で予定外の進路変更を余儀なくされる学生も出てきている。いずれも、コロナ禍によって本来あるはずだった学生生活を喪失する体験だと言えるだろう。

ウィズコロナ時代の学生相談・学生支援のあり方としては、(1)オンラインでの支援の経験を蓄積し、有効に活用していく、(2)コロナ前と比べて見つけにくくなっている要支援学生を、早期に支援につなげる工夫について模索する、(3)学生のつながり作りを支援する、(4)学生が相談にたどり着くまで待つのではなく、アウトリーチによる支援を重視する、(5)喪失体験の反応の多様化を前提に支援を考える、(6)学生の成長支援を念頭に、学生がコロナ後の新しい生き方を手に入れていくことを支援する、ということが重要になるだろう。

申し込み方法
 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
定員
90名(申込締切 11月19日)
参加方法
後日参加申込された方にお知らせします。参加案内はセミナー開催の2日前までにお送りします。届かない場合は下記までお問い合わせください。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。
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