名古屋大学高等教育研究センター 公開セミナー
短期留学の効果
―因果推論による分析から分かったこと
加藤 真紀 氏
名古屋大学 高等教育研究センター 教授
加島 遼平 氏
一橋大学経済学研究科 博士後期課程
2021年6月17日(木)14:00-16:00
開催案内
高等教育研究センター公開セミナー
※ 定員に達したため、申込受付を終了させていただきました- 講演題目
- 短期留学の効果-因果推論による分析から分かったこと
- 講演者
- 加藤 真紀 氏
(名古屋大学 高等教育研究センター 教授) - 加島 遼平 氏
(一橋大学経済学研究科 博士後期課程) - 日時
- 2021年6月17日(木)14:00-16:00
講演概要
「本セミナーでは、短期留学が大学生の学修や卒後キャリアに与える効果について因果推論に基づいて分析した結果を分かりやすく紹介します。コロナ禍を受けて多様化する留学を考える際にも、渡航を伴う留学から学生は何を得ていたのかを、1大学の事例ではありますが、改めて考えるきっかけを提供します。
国際教育や留学およびInstitutional Research (IR)に関心のある教員や学生はもちろん、これら業務に携わる事務職員のみなさまの参加をお待ちします。
本セミナーは ZOOM によるオンラインで開催します。オンライン参加が可能であることをご確認の上でお申し込みください。
オンライン参加の要件等
・カメラ・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。
講演要旨
本セミナーでは、短期留学が大学生の学修(長期留学、成績、英語力)や卒後キャリア(企業選択)に与える効果について因果推論に基づいて分析した結果を紹介した。その趣旨は2つあり、1つは、コロナ禍を受けてオンライン化により多様化・大規模化する留学を考える際に渡航を伴う留学から学生は何を得ていたのかを考える一助とすること、もう1つは因果推論を可能にしたデータ取得と分析事例を共有することで、大学IR活動の参考にしてもらうことであった。
近年の短期留学の増加や、意思決定の際にエビデンスを求める傾向の下で、留学の効果を「適切に」示すことが求められている。もっとも留学の効果を示すための課題として、選択バイアス(留学参加と不参加を選択する時に生じるバイアス)が指摘されていた。選択バイアスの結果、留学参加者は不参加者と比べて高い社会経済階層や外向性などを持つことが従来明らかになっていた。これらを解決するためには、通常は反実仮想を想定する統計手法を用いるが、今回のセミナーでは、ランダム選択によるグループ分けを行ったデータを用いて分析した結果を紹介した。またこれらデータ取得や教学データを用いた研究発表を可能にした背景として設計と制度についても紹介した。
本セミナーで紹介した留学データは、日本の1大学が実施した英語圏での1か月程度にわたる留学プログラムに応募した学部学生(延べ人数で705人、うち留学に参加したのは300人)に基づいていた。ここでは留学参加者が応募者の中から無作為に選ばれており、これによってランダム化比較試験が可能となった。分析の結果、短期留学参加は、長期留学参加を促すこと、英語力を伸ばすこと、そして卒業後に民間企業に就職する場合は、売上高が大きく、外資比率の高い企業へ就職しやすくなるという結果が得られたことを紹介した。もっとも1大学の事例であり、メカニズムが分からないなどの留意点もある。これらを踏まえて、今後の研究分析の可能性を述べた。また調査分析から得られた知見の活用としての留学プログラムへの提案や効果測定の際に分析者を当初から参加させることの重要性を指摘した。さらに、セミナーの趣旨にのっとり、過渡期にある国際教育において今後の変化に対応するための組織的連携を基にした効果測定の重要性を提起した。
- 申し込み方法
- 下記セミナー参加申込フォームから必要事項をご記入ください。その際にご入力頂いたメールアドレスの返信をもちまして、申込完了となります。
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/seminar/form/
- 定員
90名
(申込締切 6月14日(月))
- 参加方法
参加申込された方にセミナー前日までにお知らせします。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-3534
- (セミナー専用)
- 本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
- 諸連絡
- ※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。