名古屋大学 高等教育研究センター

名古屋大学高等教育研究センター 第108回客員教授セミナー 大学教育におけるDXの可能性 村上 正行 氏 大阪大学全学教育推進機構 教授/ スチューデント・ライフサイクルサポートセンター 副センター長 2022年9月15日(木) 14:00-16:00

■ 開催案内

名古屋大学高等教育研究センター
第108回客員教授セミナー

講演題目
大学教育におけるDXの可能性
講演者
村上 正行 氏
(大阪大学全学教育推進機構 教授/スチューデント・ライフサイクルサポートセンター 副センター長)
日時
2022年9月15日(木) 14:00-16:00
共催
東海国立大学機構 アカデミック・セントラル QTA・GSI トレーニングセンター

講演概要

2020年からのコロナ禍により、オンライン授業が広く実践され、大学教育のあり方、大学の存在意義が問い直されている。さらに、社会におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)が推進され、AIの活用や教育に関するデータ分析などによって、教育・学習の文脈においても、新たな取組が進められている。本セミナーでは、大学教育においてICTや教育データ分析がどのように活用されているかを概観した上で、今後の大学教育におけるDXの可能性について検討したい。


本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。以下をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。
・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること
・発言等ができる静穏な環境で参加できること

■ 講演要旨

本セミナーでは、導入として、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の違いを説明した後、教学マネジメントの観点から大学における4層(学習、ミクロ、ミドル、マクロ)と教育DXの対応を考えることの必要性について説明した。

続いて、大阪大学におけるコロナ禍のオンライン授業の現状をアンケート結果に基づいて紹介した。2021年秋冬学期では、対面・ハイブリッド授業とオンライン授業の割合は6:4程度となり、オンライン授業に対する満足度も2020年から年々向上している。また、オンライン授業においては、オンデマンド型授業の評価が高く、一時停止や再生速度を速くするなどの機能を活用して、学生が自分自身の理解度に合わせて学習していることもわかった。これらの結果から、教員・学生ともにブレンデッド教育(多様な授業形態)に慣れ、有効に活用していることが推測できる。

次に、教育データ分析に関わる研究や業務として、Learning Analyticsや教学IRの研究や現状について解説した。授業映像を解析することで学生の活性度や授業の状況などを推定する研究や、学習ログなどの分析によって解答停滞箇所の推定や学習プロセスの可視化を行う研究などを紹介した。また、大阪大学では、スチューデント・ライフサイクルサポート(SLiCS)センターを2022年度に設立し、学生に関する入学前から在学中、卒業及び修了後までの教学データを収集、分析し、教育・学習支援に活用することを目指している。現在は、IRとして収集しているデータを集約し、修学状況を様々なレベルで可視化できるようなシステムをビジネスインテリジェンス(Business Intelligence:BI)ツール(tableau)の活用によって構築している。

多くの教員や学生がオンライン授業を経験し、その有効性も実感したことから、“大学”の授業が対面で行われてきた意味、物理的な“キャンパス”の意義を考える必要、すなわち、“大学”の役割の問い直しが求められていると言える。また、教学データ分析に基づく教育・学習支援やAIを活用した個別最適化学習が学術的・技術的にも発展してきており、今後、広く実現していくためには、技術的・運営的課題に加え、何を”最適化”と考えるのか、といった教育・学習面での課題を検討することも求められる。教育DXを進めていくためには、これまでの経験にとらわれすぎず、考え方の変革そのものが重要であることを理解した上で、解決すべき課題に取り組んでいくことが重要だと考える。

申し込み方法
下記セミナー参加申込フォームから必要事項をご送信下さい。
https://forms.office.com/r/t1LbH641wF
※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。
定員
100名(申込締切 9月13日)
参加方法
参加申し込みされた方に後日お知らせします。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
案内用ポスターPDFPDF

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