名古屋大学高等教育研究センター 第206回招聘セミナー 第3回 学生支援担当者講習会 ピア・サポートの視点から学生支援を捉え直す 植田 峰悠 氏 金沢大学子どものこころの発達研究センター 博士研究員 2022年11月24日(木) 13:00-15:00
開催案内
名古屋大学高等教育研究センター 第206回招聘セミナー
第3回 学生支援担当者講習会
- 講演題目
- ピア・サポートの視点から学生支援を捉え直す
- 講演者
- 植田 峰悠 氏
(金沢大学子どものこころの発達研究センター 博士研究員) - 日時
- 2022年11月24日(木)13:00-15:00
- 共催
- 名古屋大学学生支援本部
講演概要
近年、大学の様々な場所で行われるようになったピア・サポート活動ですが、その意義や期待が熱く語られる一方で、活動の維持や展開には様々な課題があることも知られています。大学コミュニティに「ピア・サポート」を真に根付かせるには、どうすればよいのか。筆者が実践と研究を通して考え続けてきたことについて、ご紹介させていただきます。
ピア・サポートを実践されている方や、関心をお持ちの方、また実際に活動に携わって いる学生の皆さんに是非ご参加いただければ幸いです。
本セミナーは ZOOM によるオンライン開催です
- マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること
- 発言等ができる静穏な環境で参加できること。
講演要旨
ピア・サポートは、古くは20世紀初頭のBig Brother-Big Sister ProgramやAlcoholics Anonymousなどにさかのぼることができ、医療・福祉・教育などの様々な領域で「同じ立場の者同士支え合う」活動として広まりをみせている。
ピア・サポートの現場では、普段支援を受けている人たち(子ども、患者、被害者等)が支援を提供する側になることもある。大学教育に置き換えてみると、普段は学生支援は教職員から学生に支援を提供しているが、学生がピア・サポート活動に取り組むことは、学生自身が他者を支援する体験の機会となる。また、特別に何かをしなくても、時間・空間やつながりを共有すること自体が安心感や自律といった効果を生むこともある。大学生によるピア・サポート活動は現在、学習サポートや就職相談、仲間づくり、障がい学生支援等、多様な領域で様々な形態、組織体制のもとに行われている。大学公式の活動となることから、大学組織も学生サポーターを養成、認定したり、継続的なバックアップを行う形でピア・サポート活動に関与している。期待される成果としては、学生目線による学生支援の充実や、 主体的な学びの機会など、教育的意義への期待等が語られている。
一方で、全国調査や、報告者による調査(2018年)をみると、ピア・サポート活動の学内での認知度や参加する学生の継続的な確保には困難を抱えている大学も多く、安定した活動継続が難しいという課題も浮上している。特に、学生サポーター自身の成長や学びの実感や他者を支援できる機会の確保が、活動の継続に影響していたことから、大学生によるピア・サポート活動の充実は教職員も含めた大学全体で考えていくことが必要である。
また、大学におけるピア・サポートといえば大学生による活動が意識されがちであるが、学生支援の提供者である学生相談カウンセラーにとっても、ピア・サポートは重要な意味を持っている。そして、カウンセラーと学生という異なる立場の間であっても、学生相談事例の経過を読み解いていくと、そこで展開されてきた関係性は対等で相互的なピア・サポートの側面を有していることが見えてくる。
ピア・サポートとは、どちらかが一方向的に支援を提供するのではなく、互いにかかわりあうなかで支援が展開される「相互性」と、立場の強弱や優越性にもとづいて支援を提供するのではなく、 対等な存在同士という前提のもとに支援が展開される「対等性」の両者を併せ持つ支援であると再定義することができる。支援とは、その支援を提供する者と共に、支援を求め・受け入れる者が存在しなければ成立しえず、教職員も日々周囲の人たちの様々な助けも借りながら日常の職務に臨んでいる。学生同士のピア・サポートの充実だけでなく、支援を提供する教職員や大学組織も互いに支え合うというピア・サポートの視点を意識することで、より包括的な視点で学生支援全体を理解することができるようになり、大学教育や学生支援活動について全学で取り組む契機とすることができる。
- 申し込み方法
- 下記セミナー参加申込フォームから必要事項をご送信ください。
https://forms.office.com/r/FAVSH0uGBx - いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします
- 定員
100名(申込締切 11月21日)
- 参加方法
参加申込された方に後日お知らせします。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-3534
- (セミナー専用)
- 本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。