名古屋大学高等教育研究センター 第110回客員教授セミナー 高等教育と科学研究を支える寄附: 日米の国際比較の視点から 福井 文威 氏 鎌倉女子大学学術研究所 准教授 2023年3月23日(木) 14:00-16:00
開催案内
名古屋大学高等教育研究センター
第110回客員教授セミナー
- 講演題目
- 高等教育と科学研究を支える寄附:日米の国際比較の視点から
- 講演者
- 福井 文威 氏
(鎌倉女子大学学術研究所 准教授) - 日時
- 2023年3月23日(木) 14:00-16:00
- 共催予定
- 東海国立大学機構アカデミック・セントラル インストラクショナル・デザインチーム
講演概要
高等教育や科学研究を支える資金として、寄附をはじめとする民間資金に対する期待が日本のみならず諸外国で高まっている。本セミナーでは、人が教育研究活動に対して私的な支援をするという行為が社会で拡大していくためにはどのような条件が必要なのか、また、そこにはどのような課題があるのか、米国の税制・制度、大学の歴史を素材にしながら検討したい。また、2022年に実施した日本社会における高等教育と寄附意識に関する調査結果を紹介しながら、大学への寄附意識に関する日本的特質について検討したい。
本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。以下をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。
・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること
・発言等ができる静穏な環境で参加できること
講演要旨
本セミナーでは、人が教育研究活動に対して私的な支援をするという行為が社会で拡大していくためにはどのような条件が必要なのか、また、そこにはどのような課題があるのかを検討するにあたり、以下の3つの視点から検討した。
第1に、日米の寄付税制に関する制度比較研究から明らかになっている両国の制度の特徴を紹介した。ここでは、日米の寄付税制は制度設計の根底にある思想に違いがあることを指摘し、日本の寄付税制が小口寄付を誘発する方向で制度が設計されているのに対し、米国は大口寄付を誘発する方向で制度が設計されていることを示した。また、株式寄付などをはじめとする現金以外の形態の寄付を誘発する寄付税制や、寄付を誘発する税制以外の政策手段(マッチングファンドやGift aid等)が英国、シンガポール、香港などの高等教育システムに波及していることを紹介した。
第2に、米国の大学において寄付募集を担っている組織であるDevelopment Officeの発展過程を歴史資料から紐解いた研究を紹介した。ここでは、特に、米国の州立大学が1980年代以降に寄付募集に投資をしてきたことが当時の財務資料から確認できること、また、寄付募集の専門職化が進み、学長の職務として寄付募集が浸透してきたことを提示した。これを踏まえ、近年の米国における大学と寄付をめぐる動向について解説を行い、寄付という財源が政府補助金や授業料とは異なる性質を持つ財源であるという点を指摘した。
第3に、米国における大学への寄付行動に関する最近の研究を紹介するとともに、日本人の寄付意識に関する調査結果を紹介した。ここでは、インタビュー調査から明らかになった日本人の大学への寄付動機のタイプを複数提示し、その一つとして、寄付によって支えられた方々が将来的に次の世代に寄付をするというモデルを提示した
- 申し込み方法
- 下記セミナー参加申込フォームから必要事項をご送信下さい。
https://forms.office.com/r/RjiLqCAeKt - ※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。
- 定員
100名(申込締切 3月20日)
- 参加方法
参加申し込みされた方に後日お知らせします。
- お問合せ先
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-3534
- (セミナー専用)
- 本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。