第1回インターナショナルセミナー 「The Alternative Way to Obtain a University Degree In China」 LU Xinzheng 氏 Chief Lecturer, Office of National Steering Committee of Higher Education Examinations for Self-Taught Learners, Ministry of Education 1999年 3月2日(火) 名古屋大学 グリーンサロン東山ミーティングルーム
講演要旨
広大な国土と多くの人口をもつ中国では、経済発展の維持のために高度な人材の養成が急務である。しかしながら、既存の高等教育機関だけではこうした社会的要請に答えることはできない。そこで高等教育を受けることを希望する多くの人々、とくに遠隔地の人々のニーズに応えるべく、HEESL(Higher Education Examinations for Self-taught Lerners)が設立された。各地域での学習支援システム、TV、ブランチスクールなどを組み合わせて行われる通信教育を企画・運営するのがその任務である。HEESLの特質としては、1)開放性(例えば入学試験がないなど)、2)柔軟性(仕事と並行して受講できるなど)、3)経済性が挙げられる。1997年までにHEESLは2600万人が登録し、180万人がコースを終了している。このように中国社会にHEESLはよく受け入れられたと言えるだろう。一方で、図書館など既存の大学にある施設へのアクセスがないこと、職業選択に直結した特定の科目に受講者が集中してしまうことなどといった問題点も明らかになってきており、こうした問題点の解決が今後の課題である。