名古屋大学 高等教育研究センター

第30回招聘セミナー 独立法人化は大学改革のラストチャンス 中山 茂 氏 神奈川大学名誉教授 2003年11月28日(金) 午後2時 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 カンファレンスホール

■ 講演要旨

研究=情報 日本の大学はディジタル化についていけるか

 今日、研究は「情報」と定義されよう。つまり、学問スタイルが変化したことが強く感じられる。グローバルな視点でみても、「ディジタル化」の波が押し寄せてきている。しかしながら、日本はその点においては後れていると言わざるを得ない。官僚政治を例に挙げてみても、そのことは明らかである。「紙」の政治なのである。このようなことで日本の大学は、ワールドレベルまで追随していけるのであろうか。

官僚制度に馴れきって

 日本の国立大学の特徴は、一言でいってしまうのであれば、「明治から続く官僚制の一部局の枠から抜け出せない」ということである。そのような制度に馴れきってしまって、自立性を喪失している。そういった意味で、「独法化は大学改革のラストチャンス」といえよう。

瓢箪効果しかない、もう二度と瓢箪効果にめぐり合わせない

 「何が出るかわからない未知への探求=研究」が重要であるのに、文科省はこのような科研テーマをいやがってしまう傾向にある。真の研究費とはいったい何なのであろうか?企業研究所であれば、トップダウンであり、ミッション=オリエンティドであり、もともと成果をださなければならない研究テーマがあるのであるが、大学はそのようなものではない。せっかく独法化するのであれば、研究費などは自由に使えるようにしてはどうであろうか?したがって、力のある研究者ほど、独法化に賛成しているのである。

歴史に起源する問題

 今でも、日本には太政官達しが生きている世界があるといえよう。予算をつくりはするが、交渉した経験はなく、「おかみ」からいただいたものを山分けしているようなものである。 文科省にたてつけば、「江戸の敵を長崎で討たれる」という虞が、みなぎっている。

おわりに

 文科省の評価ではなく、社会の評価をえるためにも、独法化の議論を続けることが必要であろう。独法化=官僚制度からの脱却であり、それが大学改革のラストチャンスであるのだから