第37回招聘セミナー エンロールマネージメントと学習共同体 学習共同体の有効性 Joni Perchaver氏 Director, Freshman Learning Communities in General Studies, Appalachian State University (North Carolina) 2004年 3月2日(月) 午後2時 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 オープンホール
講演要旨
正規の授業時間内に行われる初年次セミナーでは、自校の歴史、タイムマネジメント、学習計画、協同学習の方法、大学の学習資源、友人づくりなどの内容が含まれる。一方、本来の初年次教育(The First Year Experience)という言葉には、正規の授業時間のみならず、学寮、クラブ活動、オリエンテーション、各種の文化イベントなどの課外活動における新入生支援プログラムが含まれる。本発表では、こうしたさまざまな学習支援プログラムを包括する概念として、「初年次学習コミュニティ」(Freshman Learning Community: FLC)という発想を提案する。
アパラチア・ステート大学では、初年次セミナーは正規の選択科目として開講されている。担当教師には1週間の事前研修が課され、上級生によるアシスタント(「ピア・リーダー」と呼ばれている)がつく。また、担当教師は毎月FLCのミーティングで、授業実践報告を行っている。こうした試みによって、シラバスの情報交換を行ったり、学習目標を共有したり、共通課題を設定したり、教授技法を共有化するなどの可能性が生まれている。
同大学における2年生への残留率(retention)をみると、FLCに関わってこなかった学生の残留率が80%前後なのに対し、FLCに参加した学生の残留率は平均して5%ほど高いという結果が得られた。このことは、FLCが新入生の残留率に一定の影響力を持っていることを示していると考えられる。