第19回招聘セミナー アメリカにおけるフレッシュマンセミナーの現状 学生の変容との関連から 山田 礼子 氏 同志社大学助教授 2001年 3月 1日(木) 10:00- 名古屋大学東山キャンパス センター会議室
講演要旨米国における導入教育では、読み・書き・数学のいわゆる3Rに限定して教育する「リメディアル教育」と、3Rにさらに大学生活の過ごし方や時間の管理法、図書館の利用法、学習技術に関連する内容をプログラムの中に位置付けた「ディベロップメンタル教育」を明確に区別して研究が進められている。サウスカロライナ大学では、1966年から毎年、新入生に対する全米規模の調査を行っているが、これによると、学生の学力は年々低下しているにもかかわらず成績は上昇している「成績インフレーション」現象が起こっている。また学生は、人生における重要目標として、「経済的・金銭的に成功すること」に価値を置くようになっており、「意味のある哲学的生活を送ること」や「政治的出来事に乗り遅れないこと」に価値を置こうとする学生は激減していることがわかっている。こうした調査をもとにして、大学によっては毎年カリキュラムを見直しているところもある。現在、アメリカでのフレッシュマンセミナーは(1)オリエンテーション拡大型(2)学問的セミナー型(3)スタディスキル型等に分類できる。事務スタッフと教員が共同でフレッシュマンセミナーを行うなど、大学職員全体でキャンパス・コミュニティを形成する試みも多く見られる。