コラム:私の名大デビュー




 私は32歳の講師。昨年4月に母校名大ではじめて授業(文系基礎セミナー)を担当することになった。これまで、TAや助手として教授をアシストしたり、非常勤をした経験はあったが、名大で単独の授業を受け持つのははじめての経験だった。最大の不安は、果たして授業のネタが1年間もつだろうかということであった。ただし新米教師の強みとして、学生時代の記憶がまだ多分に残っているので、どのような授業が学生から敬遠されるかを感覚的に把握することがてきるはずだ、と自分を励ました。

具体的には次の点に留意した。
    1. 出欠、成績評価、授業の進め方について初回に伝えておき、私自身も遅刻や言い訳をしないように努めた。
    2. 明るく大きな声で話しかけ、学生に身近なトピックスをとりあげた。
    3. ネームプレートや受講者名簿を作成したり、ディスカッションの司会を学生に交替でさせることによって、みんなで授業を進める楽しさをアピールした。初回には、一人一人の学生に自己紹介させる機会を設けた。
    4. 毎回の授業内容・目標についてアウトラインを作成した。
    5. 成績評価の方法を事前に学生に通達した。

 授業アンケートの評価は予想以上によかった。受講者全員が第一志望であったことも大きいが、「学生を信じる」ことが授業の基本であると痛感した。「百術は一誠に如かず」を実感している。学生あっての授業である。
(高等教育研究センター・近田政博)