コラム:黒板は消して帰ろう

A教師:「B先生。私、水曜日に第3講義室で先生のあとに授業をしているんですが、あのう……、まことに申しあげにくいんですけども、先生がいつも黒板を消さずにお帰りになるもので、私がですね、いつも授業の初めに黒板を消さなきゃならないんです。あの、できましたら、授業が終わったときに黒板を消しておいていただけませんでしょうか?」

B教師:「私は黒板を消さんことにしている」。

A教師:(耳を疑って)「はぁ?」

B教師:「私は黒板を消すために大学教授になったわけではない。そんなことは、私のやるべきことじゃない。学生が気をきかせて消しておくもんだ。文句があるなら学生に言いたまえ」。

A教師:「あの、それだったら私も黒板消しがしたくてこの職についたわけじゃないんですけど。ご自分で消すのが沽券にかかわるとお考えなら、学生に消しておくよう指導して、とにかく私が授業を始めるときにはきれいな黒板になっているように、ひとつお願いしますよ」。

B教師:「それだったら、君が学生に言って消させりゃいい。いいかね。学生が誰にも言われずに自分から進んで消す、ということが大事なんだよ。それをぼくが命令したなら、教育にならんじゃないか」。

A教師:「いやぁ先生、それじゃ理屈になりませんよ。それじゃあ、先生は、黒板を進んで消しておくように学生を指導するという役割を、私に押し付けていることになりますよ。だいいち、授業の後に黒板を消しておくというのは、トイレに行ったあとに水を流すというのと同じで、最低限のマナーじゃないんですか」。

B教師:「私はトイレは流さんことにしている」。

A教師:「○&□%◆△$◎#●??」

B教師:「うむ、私はトイレを流したくて大学教授になったわけではないんでね」。