■ティップス先生からの7つの提案とは このサイトは、名古屋大学の学生・教員・大学組織がよりよい教育を実現するための提案と具体的なアイディアをまとめたものです。このサイトは、さまざまな調査により収集した事例をデータベース化し、学習理論研究の成果に基づいて、それらを整理し、簡潔な表現にまとめて提供しています。そのデータのなかには、名古屋大学の先輩学生からみなさんへのアドバイスもたくさん含まれています。 このサイトのねらいは、みなさんの学習態度を評価することではなく、名古屋大学の学生のなかに埋もれていた学習の秘訣を目に見える形にし、広く共有するための枠組みを提供することにあります。 このサイトを読んでほしい人は、次のような人です。高校までの勉強のやり方と大学での勉強のやり方の違いにとまどっている人。自分では頑張れると思って大学に入ってきたのに、なかなかうまくいかなくて悩んでいる人。大学での勉強が楽しくなって、もっと成果を高めたい人。このサイトに収められているアイディアを取り入れて、学習の進め方をもう少し主体的なものにしてみましょう。そうすると、視野が広がって学ぶことがより楽しくなると同時に、学習の効果も高まっていくでしょう。 実は、『ティップス先生からの7つの提案』は学生向け、教員向け、大学組織向けの三パートからなっています。今みなさんがご覧になっているのは、このうちの学生向けパートです。私たちが三パート構成にした理由を説明しましょう。学習効果を高め、みなさんの大学生活を充実したものとするには、学生・教員・大学組織の三者の努力が同じ方向に向かって統合されていく必要があります。名古屋大学の教員はさまざまな形で授業改善に取り組んでいるところです。また、大学組織もそうした取り組みを支援しています。でも、それらの取り組みが成功し、優れた授業が実現するためには、学生のみなさんも主体的に授業に参加する姿勢をもつことが不可欠です。 たとえば、オフィスアワーを例にとってみましょう。最近多くの大学では、オフィスアワーが導入されていますが、必ずしも学生の利用が期待どおりには進んでいないと言われています。オフィスアワーを通した教育が、より充実したものになるためには、まず大学組織がオフィスアワーの制度を設け、教員と学生が気軽に話せる場所と機会を提供することが大事です。もちろん、教員も単にシラバスにオフィスアワーの時間帯を示すだけでなく、授業のなかで「気軽に研究室に来なさい」と伝えたり、研究室のドアを開放して歓迎の意思表示を行うことが必要でしょう。 でも、みなさん自身が授業でわからないことをそのままにしないで、教員の研究室に足を運ぶといった積極的な学習態度を身につけなければオフィスアワーの制度はうまく機能しないでしょう。 図 大学教育の質的向上を支える学生・教員・大学組織 以上のような考えに基づき、それぞれ学生、教員、大学組織がよりよい授業を実現するために、役に立つ提案を7つの短い文章にまとめ、それぞれの提案のもとにすぐにでも実行可能なアイディアを7つずつ配置しました。それぞれのパートは他の2つのパートと内容的に関連づけられており、学生、教員、大学組織の三者の視点から同じ目標が達成されるようになっています。 最後に、ティップス先生という名前の由来について紹介します。本サイトを作成した高等教育研究センターは、これまでに『成長するティップス先生』という大学教員向けの授業の秘訣集を開発し、ウェブページと書籍で公開しています。ティップス先生は、その中の物語の主人公です。このサイトは、『成長するティップス先生』と相互に補完的関係にあるため、『ティップス先生からの7つの提案』と名づけられています。 |