名古屋大学 高等教育研究センター

第79回招聘セミナー 双方向型の授業づくり 木野 茂 氏 立命館大学教授 2009年5月27日(水) 16時00分〜18時00分 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール

■ 講演要旨

2008年12月に出された中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」に見られるように、 大学教育改善のための一つの方法として、学生に授業への主体的な参加を促す双方向型授業が注目されてきている。

双方向型授業の先駆けとなったのが、1970年に東京大学の宇井純によって開講された「自主講座」である。 自主講座の計画の策定や情宣活動には学生も参画しており、自主講座は学生参加型FDの先駆けでもあった。

1991年の大学設置基準の大綱化以後、カリキュラムの編成が比較的自由になり、時代に合った魅力ある科目が増えた。 しかし、授業改善については、教員が受け身であることから、遅々として進んでいない。 双方向型授業では教員と学生がともに主体的に関わることが必要になるため、双方向型授業が大学における授業改善の鍵になる。

双方向型授業を進める上での第一歩は、教員と学生とのコミュニケーションを活発化させることである。 これにより、教員は学生の理解度を把握した上で授業を進めることができる。 また、学生は教員とのコミュニケーションを取ることで、理解度や学習意欲などを高めることができる。 ただし、コミュニケーションによる学習効果は学生がコミュニケーションを記憶しているかどうかによって大きく異なる。 例えば、授業中に教員と意見交換をしたことを記憶している学生については、 大きな学習効果が得られることが授業アンケートの結果からわかっている。

講演者は担当する大人数授業で、学生の主体的な参画の試みの例として、 ディベート、授業展開に合わせた討論劇、コースツールを用いた議論などを導入している。 このような双方向型授業には、特に学生の学習時間を増やす効果があるということがわかっている。

双方向型授業を実施する上で、心得ておくべきことは、次の通りである。

  1. 双方向型授業は一般的な授業に比べて、授業中に学生の自主性に任せる時間を多くとるため、授業で教える内容を十分に絞る必要がある。

  2. これを補うためにも、学生に授業外学習を促す仕掛けが必要になる。

  3. 効果的な双方向型授業を行うためには、授業前に教員が授業計画を十分に練り、計画された授業用資料を作成する必要がある。

  4. 双方向型授業ではコミュニケーションの取り方が効果を左右するため、一方通行の授業にならないように常に注意を払う必要がある。

■ 開催案内

第79回招聘セミナー

講演題目
双方向型の授業づくり
講演者
木野 茂 氏(立命館大学教授)
日時
2009年5月27日(水) 16時00分〜18時00分
場所
東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール

講演概要

昨年12月の中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」でも、大学における 教育方法の改善課題として、 学生の主体的・能動的な学びを引き出す教授法が 重視され、双方向型の学習への取り組みが提唱されるようになった。

演者は大綱化答申以前より、双方向型授業づくりが今後の大学教育では不可欠だと考え、 前任校の大阪市立大学および現在の立命館大学でもさまざまな授 業実践を行ってきたが、 その中から多人数双方向型授業づくりの一端を紹介し、今後の可能性について参加者と意見を交わしたい。

お問合せ先
夏目 達也
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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