第83回招聘セミナー 大学改革における大学職員の役割 横田 利久 氏 中央大学合併推進本部担当部長、大学行政管理学会前会長 2009年11月12日(木) 18:30〜20:00 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール
講演要旨
大学改革の突破口を切り拓き具体的に推進するのは職員である。そのためには使命感や責任感、当事者意識が全ての基本となる。 大学改革を内実化し、継続性のあるものにするためには教職協動が鍵となる。 教員と職員の協働に際しては、それぞれの合理的で戦略的な役割分担に基づくことが不可欠である。 職員としては、教員(研究者)の職務と基本特性を理解し、教員から信頼される職員になる必要がある。 教職協働は、もちろんその前提として「職職協働」のもとに成り立つ。
知識基盤社会の到来、18歳人口の減少とグローバルアクセスの下での大学間競争の激化など、高等教育をとりまく環境は激変している。 これにともない、職員の職務領域は拡大し、機能・役割が高度化・複雑化している。 「入学前教育」「キャリア教育」「産官学連携」「大学間連携」などは、10数年前まではあまり耳にしなかった課題領域である。 新たな課題にともない職員に「学生生活支援ソーシャルワーカー」や 「研究コーディネーター」や「インスティテューショナル・リサーチャー」としての役割が求められるようになっている。
とりわけ、教育力向上において職員が果たすべき役割がクローズアップされるようになっている。 教員が「何を教えたか」という「教育パラダイム」から、学生が「何を学んだか」、 ひいては学習成果として「何ができるようになったか」という「学習パラダイム」へのパラダイムシフトが本格化するもとで、 大学の教育力は、教員と職員とが協働しなければ十全にその機能を発揮しえないようになってきている。 そうした中で、学生に「人間性」や「社会性」を身につけさせることも大学教育の大きな課題となっているが、 それには課外活動が大きな役割を担っており、ここには職員が積極的にかかわる意義と重要性がある。 全体としてみると、業務をサポートする職員から、業務をマネジメントする職員への転換が要求されている。 現在求められているのは、大学の諸活動をマネジメントするプロフェッショナリズムにあふれた職員なのである。
全学的なレベルで改革が進展している大学の特長は次の12である。これらは、職員が元気になり、望ましいキャリア形成につながるSD環境を表している。
- 当該大学における職員論の確立(職員の正当な位置づけ)
- 大学全体の明確な方向性・方針と各機関トップのリーダーシップ
- 学生本位、学生中心が明確化。学生の力を活用
- 教職協働の仕組みが機能
- 業務・組織が柔構造。縦割り弊害緩和の仕組み
- 責任の所在が明確(責任は、とる前に果たすもの)
- 現場の中間管理・監督職・中堅が元気で、様々に挑戦させてくれる
- 人事諸制度が有効に機能
- 全員参加型(情報・課題・危機感の共有によるコミュニケーションの活性化)
- 中途採用、経験者採用が活溌
- 自ら学び続ける職員がいて、学びのネットワークが学内外にある
- 職員が当該大学の検討機関・意思決定機関に正式なメンバーとして、参画している。(教学・法人役員への登用を含む)
改革を学内において進めるために職員個人は何から始めることができるのだろうか。 具体的には、職員はまず個人や職場での勉強会から始めることができる。 職場や学外での学びのネットワークに参画し、自分や自分の職場や大学を相対化して考えることが、必要な改革の土台となり出発点となるのである。
開催案内
第83回招聘セミナー
- 講演題目
- 大学改革における大学職員の役割
- 講演者
- 横田 利久 氏
- (中央大学合併推進本部担当部長、大学行政管理学会前会長)
- 日時
- 2009年11月12日(木) 18:30〜20:00
- 場所
- 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール
講演概要
大学改革の推進に当たって職員に求められることは、プロフェッショナリズムを発揮して、教員と協働しながら、大学の諸活動をマネジメントすることにある。 そこでの職員のプロフェッショナリズムとはいかなるものか、専門性をはじめ教職協働にあたって職員に求められるものは何か、 さらには、大学のマネジメントに求められる要諦とは何か、それらはいかなるキャリア・パスと自己啓発により形成されるのか、 を自らの悪戦苦闘の職員体験をもとに実践的に考えてみたい。
- お問合せ先
- 久保田祐歌
- info@cshe.nagoya-u.ac.jp
- Tel:052-789-5696
- ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。