3.3 仲間とともに学ぶ大切さを知ろう
あなたが大学で学ぶのは、教員からだけではありません。大学では学生同
士で学ぶことが重要な意味を持ちます。困難な課題であっても、仲間と励ま
し合いながら学ぶことによって、途中でくじけずにすみます。仲間の意見を
聞くことによって、自分の考えを見直したり、発展させたりすることもでき
ます。自分の学習プロセスを他者にチェックしてもらうことは、ミスを少な
くし、学習方法の改善にもつながります。
ティップス39:新しい仲間をつくろう
あなたは、キャンパスで同じ高校の出身者といつも一緒に過ごしていませ
んか。それではもったいない。せっかく大学に入ったのだから、新しい友人
をたくさん見つけましょう。授業は新しい人脈を開拓する絶好の機会です。 初対面の人にも勇気を出して声をかけてみましょう。新しい環境に戸惑って
いるのは誰でも同じなのですから。
ティップス40:授業でのグループワークに積極的に参加しよう
基礎セミナーや実験・演習系の授業では、グループでの作業が多く取り入れられています。グループ作業には、ディスカッション、プレゼンテーション資料の作成、実験作業の分担、フィールドワーク、社会調査などいろいろあります。こうした活動に積極的に参加して、さまざまな学部の学生と交わり、他者の意見にコメントをしてみましょう。コメントを考えることは、他者の意見と自分の意見の違いを認識するということでもあります。
実験や実習では、複数の人が一つの現象を一緒に確認することが大事です。
二人一組で実験するのは、大学の予算が足りないせいでも、どちらかがサボ
ってもいいということでもありません。お互いから学び合う経験をすること
に意義があるのです。グループ内で、うまく作業を分担しましょう。お互い
がどんな作業をしたのかをきちんと理解・共有しましょう。他の人の実験手
技から学び、他のグループが先生やTA に質問している時には積極的に耳を
傾けてみましょう。
ティップス41:学んだ内容を仲間と共有しよう
記憶に関する研究によると、受け身で学んだ内容の定着率はごくわずかだ
そうです。最も学習効果が高いのは、学んだ内容を人に教えること、および
自分で身体を使って実践することだと言われています。つまり、聞いただけ
の内容の大部分は忘れてしまうが、手足や口や五感を総動員して獲得した内
容は定着率が高いようです。
というわけで、授業で学んだことを仲間と共有しましょう。友人に説明す
ることによって、どこが理解不十分なのかをすぐに認識できるし、いっそう
理解度を深めることができます。また、授業で学んだ技術を自分で実際に試
してみましょう。なかなか教科書通りの結果は得られないかもしれません。
誤差が生じるかもしれません。しかし、その経験を通してあなたの学習理解
度は確実に深まるでしょう。
ティップス42:自主的な勉強会をつくろう
もしあなたが特定のトピックスについて深く掘り下げて勉強してみたいと
思ったら、仲間と勉強会を組織するとよいでしょう。名古屋大学には無数の
勉強会・研究会があります。学生だけで組織されているものもあれば、非公
式に教員や院生が参加しているものもあります。共同で学習するスペースは
中央図書館などたくさんあります。
勉強会・研究会のメリットは、自分一人ではどこから手をつけて良いかわからないような問題であっても、仲間と議論するうちに、突破口が見つかるかもしれないことです。一人だったらくじけてしまう内容でも、励まし合って知恵を出し合うことできっかけがつかめるかもしれません。
「フリーライダーにならない」
【先輩からのアドバイス】
・友だちと議論すれば自分と違った考えが聞けて視野が広がるし、講義の内容を友だちに説明することによって、より自分の考えが深まる。一方向でなく相互関係であることが大事。その方が新しいアイデアも出てくるし、記憶にも残りやすいし、何より楽しい。(工)
・私は法学部生だが、法律は考え方が一つではないし、答も一つでないことはほとんどである。実際に試験で問われるのは、その曖昧な部分である。これを自分一人で解決しようとすると、自分の考えだけでは偏ったものになってしまう。そこで、自分の周りの同じ専門を学ぶ同級生と議論する場を設けるのである。議論することで、他の人の考え方を参考にできるし、自分の考えに対しても他者から意見や感想を言ってもらうことができる。(法)
・友だちと一緒に勉強することにより、ライバル意識が生まれたり、そこから他の人には負けまいと勉強することに意欲的になったりすることもあると思う。また、わからない点を一緒に考え、解決したりすることで、その部分が印象的になり、よく頭に残ると思う。(工)
【教員からのアドバイス】
・何か本を決めて、仲間と輪講をします。質問する側に回ったときには、例えば「何でこんなのことを考えるの?」といったいじわるな質問をします。
みなさんが高校時代に教育実習生をいじめたのと同じ種類の質問です(ただし、まじめに質問します)。発表する側に回ったときには、当然質問されます。このような輪講を1年続ければ、大学で勉強するのにふさわしい学習習慣、方法が自然に身につくはずです。
・学習法は先輩のやり方を伝授してもらうのが一番いい方法です。身近な人をコピーしましょう。また、独り善がりの方法には限界があります。先輩にどんどん尋ねましょう。
・これまでのように、「正解」の存在を前提とした受身の学習態度では、何とか卒業できても実力はつかない。自主的に、気の合った数人の仲間で、定評のある専門書に取組むことを薦める。その時点で理解できなくとも、必ず得るものがある。また、大学では、わざわざ基礎から遠回りして教える。能率が悪いように感じられるかも知れないが、基礎体力を養うことに相当する。学術研究にしろ、製品開発にしろ、従来の方法で解決できない難問に将来当たったとき、深く考えることが武器になる。目標を高く持って、しっかり力をつけてほしい。
・実験では、他のグループの様子や、教員やTAが他のグループにアドバイスしている内容に注意を払ってください。往々にして、うまくいかないところ、進め方がよくわからないところ、というのは共通していることが多いのです。人のやっていることをよく観察してください。逆に、自分の書いた実験レポートを友人にチェックしてもらうのもよいでしょう。
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