1.3 まずは授業に出よう
大学で授業を受ける時は、高校との違いに誰でも最初は戸惑うものです。
授業時間はとても長いし、教室も大きい。一部の科目を除けば、同じ授業は
週1 回しかありません。高校の多くの授業では同じ教室に教員が入れ替わり
入ってくるのに対し、大学では学生の方が授業ごとに移動します。座席も自
由です。授業ごとに受講する顔ぶれは変わります。しかも、同級生は2千人
を超える大集団です。こういう環境の中で、あなたは時として一人ぼっちに
なったかのような孤独感を感じることがあるかもしれません。しかし、そう
感じているのはあなただけではありませんので、安心してください。誰もが
最初はそうなのです。
大学で授業を受ける上で肝心なことは、1 回90 分という授業スタイルに慣
れること、授業ごとに異なるルールを知ること、積極的に授業に参加するこ
とです。これらのことに気をつけていれば、最初は戸惑うかもしれませんが、
だんだんと大学の授業に慣れていくことでしょう。
ティップス8:90分授業に慣れよう
名古屋大学のほとんどの授業は1 時限90 分です(実験などを除く)。高校
までは1 時限45〜50 分の授業に慣れていたことと思います。あなたにとっ
て、最初のうち90 分という時間はとても長く感じられるかもしれません。
しかし、高校よりもはるかに高度化した内容をまとまった内容として教える
ためには、1 回90 分という時間はどうしても必要なのです。言い換えれば、
1 回の授業で扱う内容は、高校までの少なくとも2 倍はあるということです。
うっかり休んでしまうと、あとから追いつくのが大変なので、気をつけてく
ださい。
ティップス9:授業ごとに異なるルールを確認しよう
大学では、授業のルールの大部分は担当する教員が決めています。もちろ
ん、基本的なことは共通です。当たり前のことですが、カンニングをしては
いけないし、私語をすれば注意されます。友だちの代わりに出席する、いわ
ゆる「代返」も不可です。携帯電話の電源は必ず切ってください。大学では
「学問の自由」が保障されている代わりに、大人として他者の人格や学習活
動を尊重することが求められます。私語や携帯電話は明らかに他者の学習活
動を妨害する行為です。あなたの周囲でそういう行為をしている人がいたら、
注意しましょう。実験や実習においては、安全や倫理に関するルールが事前
に説明されます。まずは、それらをきちんと守ってください。
このほか、授業によって異なるルールもいろいろあります。たとえば次のようなものがあります。
・出欠をとるかどうか、出席点を成績評価に加味するかどうか
・飲み物(ペットボトルなど)を教室に持ち込んでよいかどうか
・教室で帽子をかぶってよいかどうか
・やむを得ない理由で授業に出られないとき(災害、急病、葬儀など)、欠席 扱いとなるかどうか
・補講があるかどうか
・試験の時に教科書・ノート・辞書類を持ち込んでよいかどうか
・成績評価の方法は試験なのか、レポートなのか、それとも日常の
課題なのか
これらの点については、各授業のシラバスを確認してください。もしくは、最初の授業の時に教員から説明があると思いますので、聞き漏らさないように注意してください。
ティップス10:教科書を買おう
大学の授業の基本、それは指定された教科書をちゃんと買って、専用のノ
ートを用意して、毎回遅刻せずに出席することです。自分でお金を払って教
科書を買うことによって、「さあ授業を受けるぞ」という気持ちが自然に高ま
ってきます。なんだ、高校と同じじゃないかと思うかもしれません。そのと
おりです。しかし、まじめに授業に出たとしても、大学の教員はきれいに板
書してくれるとは限りません。補助プリントを配布してくれるとは限りませ
ん。試験対策を教えてくれる教員もほとんどいないでしょう。受講者全員が
わかるまで練習問題を丁寧に解説してくれるわけではありません。こうした
授業に出ているうち、あなたは大学の授業はとても不親切だと感じるかもし
れません。
しかし、そのことはあなたが生まれて初めて「大人」として遇されている
ということの裏返しでもあります。あなたが「よくわからない」と言わなけ
れば、大学の教員はあなたが理解したものとして考えます。大事なのは教員
が提供する知の世界を自分なりに再構成するプロセスなのです。たとえば、
次のような方法で授業に積極的に参加することができます。いずれも当たり
前のことばかりですが、これらの積み重ねが大事です。
・指定された教科書を購入する
・授業の開始時間を守る
・できるだけ教室の前の方に座る
・わからない点について教員に質問する
・指定された練習問題を自分でちゃんと解く
・課題に積極的に取り組む
・授業で紹介された参考文献について自分で調べてみる
・教員の書いた論文や本を自発的に読んでみる
・授業中のグループワークに積極的に参加する
これらの具体的な方法論については、2 章以降で詳しく紹介します
【先輩からのアドバイス】
・まずは授業に出ること。授業に出ないことには、その授業がどのようなものかわからない。たとえシラバスではつまらなさそうな授業であっても、教える人がおもしろかったりしたら、その授業の内容に興味が持てるかもしれない。興味が持てるか持てないかは、授業に出てみないとわからない。(農)
【教員からのアドバイス】
・つまらないと思う講義でも、がまんして寝ずに聴き通しましょう。収穫は必ずあるものです。最悪でも、精神が鍛えられ、集中力が身につきます。
・授業を集中して聴くことが一番効率の良い勉強法なので、授業をサボらないで、できるだけ前に座る。
・授業をサボるのは絶対にやめましょう。聞き逃した1時間の講義を自分で学習するのは10 倍の労力が要ります。
・どれか一つでもいいので、100%出席する授業をつくること。
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