市民とともに科学する
サイエンスカフェをはじめる
1 サイエンスカフェの精神を知る
- サイエンスカフェの特徴
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- 大学や研究所の外、つまり市民の生活の場である街のなかの喫茶店やバーで行う
- 参加者は少なめ(30人程度)
- ふらりと気軽に立ち寄れる
- 最初に短かめに科学者が話題提供をし、そのあとは参加者が自由に議論する
- 科学者と市民が、科学を話題に、対等な立場で気軽に討論する
- 飲み物やお酒を片手に、リラックスした雰囲気で語り合う
- 【コラム】
- サイエンスカフェ
2 サイエンスカフェを立ち上げる
ちょっと楽しんでみよう、くらいの気持ちで始められるのがサイエンスカフェです。 あなたの生活圏内で開かれているならば、運営の手伝いをしたいと申し出てみるのも一つの手でしょう。
- 会場を探す
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- 参加者の動線や声の通りなど、サイエンスカフェにあった空間を見つける
- 長時間座席を占領するので、店がすいている時間帯や曜日の開催をもちかける
- 音楽のライブや落語会など店内でイベントを開催した実績のある喫茶店や酒場にあたってみる
- ねらったお店は、できるだけこまめにふだんから利用する
- 先方の要望にもできるだけ応じる
- 喫茶店や酒場が見つからなかったら、公民館やコミュニティーセンター、図書館など公的機関の部屋を借りてとりあえずスタートさせる
- 話題提供者を見つける
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- テーマ設定が効いてくるのは、何百人も集めようとする場合なので、あまり悩まなくてよい
- 大学院生やポスドクなど若い研究者に頼む(熱意が感じられるのと、参加者もざっくばらんに話しかけやすいので比較的好評)
- あなた自身が聞きたい話をしてくれる人を選ぶ
- 市民の関心を惹くタイトルにする
- サイエンスカフェの趣旨を、依頼時にきちんと伝えておく
- 広報する
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- チラシやポスターをつくり、会場のお店に配布と掲示をお願いする
- ウェブサイトをつくり、そこで広報する
- (常連さんがいないうちは)タウン誌などフリーペーパーに掲載してもらう
- (マスコミに取材してもらいたかったら)プレスリリースをする
- ゲストスピーカーに伝えておきたいこと
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- あなたのサイエンスカフェの運営方針
- 講演会との違い(質疑や議論にどれだけ真摯につきあったかが、成否のポイントになる)
- 話題提供の時間(詰め込みすぎないように)
- ときには辛口の意見が出てくるので、よく耳を傾け、よく考え、誠実に自分の見解を述べる
- 同じ分野の研究者や大学院生をいっしょに連れて行くとよい(テーブルごとに専門家がいることで、議論がそれぞれに盛り上がる)
3 対話を生み出す工夫
- 対話を生みだす工夫
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- 話題提供のあと、休憩時間を入れる
- 「まず、…という点についてご意見やご質問のある方はいますか?」という程度の進行をする
- 話題提供のあいだも質問大歓迎!と宣言してしまう
- あなたが積極的に話に割って入って質問する
- 休憩時間の間に質問カードを書いてもらう
- 話題提供者を「先生」づけで呼ばないというルールを設ける
- あらかじめチラシに「宿題」を出す(例 「○○に対するあなたの考えを用意してきてください。当日一緒に議論しましょう。」)
サイエンスカフェでは、対話をどう活性化させるかより、盛り上がってしまった議論をどのように切り上げるかの方が難しいように思われます。
- サイエンスカフェを締めくくる1つの方法
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- あらかじめ、話題提供者に終了後も残って議論につきあってくれるように頼んでおく
- 予定終了時間が来たら、「とりあえずお開きにします。まだ議論したい方は、もう一杯お店に注文して、残って議論しましょう。○○さんも、もちろんつきあって頂けます」と宣言して、いったん解散する。
- 残った参加者で、議論を続ける(もしくは二軒目に移動)
4 カフェの活動を続けていく
サイエンスカフェを持続させるコツは「頑張らない」ことに尽きます。
- サイエンスカフェを長続きさせるコツ
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- 定期的開催にこだわらない
- 参加者をむやみに増やそうとしない
- 議論を無理に盛り上げようとしない
- できばえを厳しく評価しない
- あなた自身が楽しめるものにする
- 仲間を増やす(常連さんを運営に巻き込む)
- ほかのサイエンスカフェと交流する(全国の開催情報は「サイエンスカフェ・ポータル(http://cafesci-portal.seesaa.net/)」へ)
- 科学技術コミュニケーターからアドバイスを受ける
- 【コラム】
- 科学をつたえる人々