はしがき
名古屋大学が国際的な教育・研究環境を形成する上で、留学生は重要な役割を果たしています。留学生活を成功させることは、彼ら自身のキャリア形成や母国の発展をもたらすのみならず、名古屋大学の教育・研究成果を高めることにつながります。教職員や日本人学生にとっても、留学生と接することは貴重な異文化体験となり、さまざまな知的刺激を得られるとともに、自らの視野を拡げることにつながります。
同時に、留学生の受け入れには今日においてもさまざまな課題が存在します。このハンドブックは名古屋大学の教員有志によって立ち上げた留学生研究会で作成しました。本冊子は、教員と留学生が信頼関係を築く上で参考になると思われるアドバイスや各種情報をまとめたものです。そのねらいは次の3つです。
・留学生受け入れに必要な基礎知識を提供する
・他の教員の留学生受け入れノウハウを紹介する
・留学生の受け入れに参考となる情報源を紹介する
このハンドブックの中心部分は留学生受け入れに関するQ&Aです。本書の制作に先立ち、2010年8月に学内教員を対象として留学生の受け入れに関するオンラインアンケートを実施しました。これにより、留学生の入学手続きや日常生活、彼らに対する授業や研究指導などにおいて、本学の教員がさまざまな課題に直面し、試行錯誤していることがわかりました。また、ベテラン教員が長年にわたって蓄積してこられた留学生受け入れ上の経験や工夫は、中堅・若手教員に必ずしも十分に共有されていないということもわかりました。
同研究会ではこうした課題を場面別に整理した上で、留学生相談室や各部局の留学生担当教員としての経験を活用しながら、各教員が日常の教育現場においてどのように対応すればよいかという観点からアドバイスを作成しました。その際に、留学生と接する上で参考になる異文化間コミュニケーション学や高等教育学の知見を盛り込みました。
名古屋大学教員のみなさまにとって、本書が留学生を受け入れる際の参考になれば幸いです。本書にはまだまだ不十分な点があろうかと思います。今後の改善に活かすため、いろいろご意見をお聞かせください。
名古屋大学留学生研究会