1. 名古屋大学で学ぶ留学生の概要
最初に名古屋大学で学んでいる外国人留学生の概況をご紹介します。図1は留学生の出身国・地域を示したものです。名古屋大学には75カ国・地域から1,665人の留学生が学んでいます(以下の留学生データは、いずれも2010年11月1日現在)。このうち86.3%(1,437人)をアジア人留学生が占めています。最も多いのは中国人留学生で全体の53.2%を占めます。次いで韓国、インドネシア、台湾、マレーシア、ベトナム、カンボジア、ウズベキスタン、バングラデシュ、タイの順となっています。
図1 名古屋大学に在籍する外国人留学生の出身国・地域
【アジア】
中国886、韓国145、 インドネシア57、台湾52、マレーシア48、ベトナム46、カンボジア44、バングラデシュ34、タイ25、ラオス21、インド17、フィリピン15、ミャンマー13、モンゴル12、ネパール10、スリランカ8、パキスタン4
【欧州】
ウズベキスタン39、ドイツ16、フランス10、ポーランド9、イギリス7、ロシア6、ハンガリー5、カザフスタン3、スウェーデン3、ブルガリア3、 ルーマニア3、アゼルバイジャン2、キルギス2、 スペイン2、アイルランド1、 アルバニア1、アルメニア1、 オランダ1、クロアチア1、スロバキア1、セルビア1、タジキスタン1
【アフリカ】
ケニア8、エジプト8、 エチオピア3、 モザンビーク2、 マダガスカル2、 ガーナ2、マラウイ1、ナイジェリア1、チュニジア1、タンザニア1、スーダン1、シエラレオネ1、 コンゴ1、カメルーン1、ガボン1
【中南米】
ブラジル12、ペルー2、ボリビア2、メキシコ2、アルゼンチン1、エクアドル1、グアテマラ1、ドミニカ1、 パナマ1、パラグアイ1、ホンジュラス1
【北米】
アメリカ17、カナダ5
【中東】
トルコ9、イラン6、イスラエル1、シリア1、バーレーン1
【大洋州】
オーストラリア8、パプアニューギニア2、ニュージーランド1
備考:上記の地域分類は名古屋大学の統計に基づく。
次に、留学生の所属部局をみてみましょう(表1)。文系・理系を問わず、さまざまな専門分野に留学生が在籍しています。学士課程(研究生を除く)の留学生数は160人で、学士課程在籍者数(9,700人)に占める割合は1.6%です。これに対し、大学院課程(研究生を除く)の留学生は1,033人で、大学院課程在籍者数(6,154人)に占める割合は16.8%です。このように、名古屋大学では学士課程と比べて大学院課程の留学生割合が高いのが特徴です。
表1 留学生の所属部局と所属課程
所属部局 | 学士課程 | 大学院課程 | 小計 | ||
学生 | 研究生等 | 学生 | 研究生等 | ||
文学研究科・文学部 | 17 | 58 | 60 | 5 | 140 |
教育発達科学研究科・教育学部 | 9 | 25 | 35 | 3 | 72 |
法学研究科・法学部 | 6 | 23 | 100 | 29 | 158 |
経済学研究科・経済学部 | 21 | 23 | 61 | 7 | 112 |
情報文化学部 | 2 | 26 | - | 28 | |
理学研究科・理学部 | 3 | 9 | 40 | 8 | 60 |
医学系研究科・医学部 | 2 | 0 | 79 | 10 | 91 |
工学研究科・工学部 | 94 | 71 | 206 | 19 | 390 |
生命農学研究科・農学部 | 6 | 7 | 35 | 4 | 52 |
国際開発研究科 | - | 139 | 37 | 176 | |
多元数理科学研究科 | - | 5 | 0 | 5 | |
国際言語文化研究科 | - | 101 | 46 | 147 | |
環境学研究科 | - | 112 | 20 | 132 | |
情報科学研究科 | - | 60 | 8 | 68 | |
研究所等 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
小計 | 160 | 243 | 1,033 | 196 | 1,632 |
留学生センター | 33 | - | 33 | ||
合計 | 436 | 1,033 | 196 | 1,665 |
*留学生センターは日本語研修コース、日本語・日本文化研修コースの留学生を指す。
さらに、大学院課程全体(大学院研究生を含む)に学士課程の研究生(いわゆる学部研究生)を加えた留学生数1,472人が留学生全体に占める割合は88.4%に達します。学士課程の研究生(いわゆる学部研究生)や大学院研究生は、大学院入試のための準備学習を行ったり、大学院を修了年限まで在籍した上で博士学位を目指す学生が多くを占めます。つまり、名古屋大学で学ぶ留学生の9割近くは大学院学生か、その予備軍あるいは修了者であると言えるでしょう。
また、図2からわかるように、名古屋大学で学ぶ留学生の74.7%(1,243人)は私費留学生です。日本政府の国費留学生は22.4%(373人)、外国政府派遣留学生は2.9%(49人)となっています。つまり、名古屋大学で学ぶ外国人留学生の量的特徴をまとめると、(1)アジア出身者が多い、(2)大学院学生およびその予備軍である研究生が多い、(3)私費留学生が多い、といえるでしょう。
図2 国費留学生と私費留学生の割合
さらに名古屋大学では平成23(2011)年10月から、英語のみによる授業で学位が取得できる教育プログラム(国際プログラム群)を学士課程と大学院課程の両方で実施します。このプログラムは国際化拠点整備事業(グローバル30)により、外国人留学生入試及び帰国子女等を対象としています。学士課程では自動車工学、物理系、化学系、生物系、国際社会科学の5つのプログラムが提供されています。募集人数はいずれも若干名ですが、これまで少なかった学士課程の外国人留学生の増加が見込まれます。
同時に、大学院前期課程では物理数理系、化学系、生物系、経済・ビジネス国際、比較言語文化の5プログラム、大学院後期課程では物理数理系、化学系、生物系、医学系の4プログラムがスタートする予定です。