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ティップス先生からの7つの提案とは

このパートは、よりよい教育を実現するための具体的方法をまとめた『ティップス先生からの7つの提案』の4番目のパートです。これまで名古屋大学高等教育研究センターは、教員編、学生編、大学編の3提案を発表し、教員、学生、大学組織が、それぞれの立場から教育の質向上のために何を実行したらよいのかを提案しています。

4番目にあたるこのパートは、大学教員やティーチングアシスタントが新しい情報通信技術であるインターネットやメールなどを活用して、よりよい教育を実現するための提案と具体的なアイディアをまとめたものです。つまり、この IT 活用授業編は、これまで開発した教員編を IT という観点から充実・発展させた内容になっています。

技術は教育現場に大きな影響を与えます。歴史をふりかえるとこれは明らかです。活版印刷技術は教科書や文献などを学生全員に配布することを可能にし、ビデオ機器は授業の中に映像を取り入れることを可能にしました。インターネットやメールなどの IT もまた、授業の形態をより発展させる可能性を秘めています。

日本の大学においても、すでに多くの先生方が、 ITを活用してさまざまな授業を実践しています。しかし、新しい技術を単に授業に導入しただけで自動的に授業がよくなるわけではありません。それらの技術の特性をうまく活用してこそ、授業を大きく改善することができます。

あなたが授業内容を学生によりよく理解させるために、ディスカッションを行いたいと考えたとしましょう。しかし、授業内にディスカッションを取り入れる時間が十分にとれないことが往々にしてあります。その場合でもインターネット上でアクセスできる掲示板は学生の居場所を問わないため、授業時間外にディスカッションをさせる有効な手段になります。ただし、掲示板を用意しただけで、有益なディスカッションが展開されるとは限りません。たとえば、前もって掲示板で発言する時のルールを伝えたり、掲示板を頻繁にチェックするように伝えたり、ディスカッションが拡散しそうな時に論点を整理したり、学外の専門家に加わってもらったりなど、いくつかのアイディアがあります。このようなアイディアを実践することによって、授業時間外のディスカッションを成功させることができるでしょう。

本パートは、学内外での調査を通じて収集した優れた教育実践例をデータベース化し、『ティップス先生からの7つの提案』の枠組みに基づいて、それらを整理し、簡潔な表現にまとめて提供するものです。このパートのねらいは、それぞれの大学教員に埋もれていた優れた教育実践とそのための知恵を明示し、広く共有するための枠組みを提供することにあります。本冊子で言う IT 活用授業とは、メール、掲示板、インターネット上のウェブサイト、自分で制作するウェブサイト、授業支援システムである WebCT などを活用する授業のことです。また、これまで IT 活用をしてこなかった教員にも取り組みやすいアイディアを多く含めました。

『ティップス先生からの7つの提案』を制作するヒントになったのは、米国高等教育学会で開発された『優れた授業実践のための7つの原則』でした。この既存の開発物を参考にしながら、コンセプトを発展させ、さらに日本の大学での活用をめざしたものが『ティップス先生からの7つの提案』です。今回の IT 活用授業編はこれまでの3パートとは異なり、名古屋大学の高等教育研究センターと情報メディア教育センターの教員が協力して開発した点にも特徴があります。また、 IT を活用した授業を実践している大学教員から構成される WebCT ユーザ会が蓄積してきた教育実践事例も、本サイトを開発する上で大いに参考にしました。このように開発した IT 活用授業編が加わることにより、『ティップス先生からの7つの提案』は、さらにオリジナリティの高い開発物になったと考えています。

開発スタッフ

名古屋大学高等教育研究センター

 戸田山 和久 
 夏 目 達 也 
 近 田 政 博 
 中 井 俊 樹 (プロジェクトチーフ)
 鳥 居 朋 子
 中 島 英 博  (現在、三重大学高等教育創造開発センター)
 齋 藤 芳 子

名古屋大学情報メディア教育センター

 山 里 敬 也
 岡 田 啓 (現在、新潟大学超域研究機構)