1.2 大学で学ぶことの意味は「学識ある市民」になること
あなたが大学で人生の重要な時期を過ごす意味は何でしょう。大学院に進み研究者の道を歩もうとしている人はたくさんいるでしょう。学部を卒業したらすぐに就職するつもりの人も多いでしょう。企業に勤める人も、教員になる人も、医師になる人も、法律家になる人も、公務員になる人も、国際機関で働く人もいることでしょう。なかには、作家や芸術家の道を目指す人もいるでしょう。こうしたすべての人に共通する、大学で学ぶことの意味とは何でしょうか。
あなたがどの道に進もうとも、必ずなるものは何でしょう。最終的には「死体」ですね。このことを忘れてはいけません。しかし、普通はそうなる前にちょっと時間があるはずです。あなたは「市民」として生きることになります。ここで言う市民とは、「社会を担い、社会を動かしていく人」くらいの意味に理解してください。しかし、わたしたちがこれから大学で学ぶあなたに期待するのは、もう少しハードルの高い目標、つまり「学識ある市民」になることです。
「学識ある市民」とは、いったい何でしょうか? まず、ここで言う「学
識」とは何かということから説明しましょう。最初に、学識ある人はどんな
能力を身につけているのかということから始めて、次に学識ある人はどんな態度を身につけているのかという話に移っていきます。
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