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1 内容の3つのパターン
科学という営みは、常に疑問、驚き、感動を伴うものです。そういった科学のおもしろさに参加者を巻き込むことを目指しましょう。科学のおもしろさを参加者に伝えるために、次の3つの側面から考えてみてはいかがでしょうか。
- 科学者たちの知的好奇心の在り処
- 科学者たちがどのようなことに興味・関心を持って研究を進めているのか。
- 研究のプロセスのおもしろさ
- 新たな知識がどのような方法でつくられていくのか。
- 科学の成果のおもしろさ
- 科学の成果が人々の生活や世界観にどのような意味をもつのか。また、どのような新たなおもしろい課題につながるのか。
科学のおもしろさを伝える方法にはさまざまな方法があります。まずは、あなた自身が研究を進める上で感じている知的好奇心や感動を直接伝えることが重要でしょう。また、科学の成果と参加者の日常生活がどのように関わっているのかを伝えることも有効な方法です。さらに、時間や場所などの制約条件を考えた上で、実験やデモンストレーションなどを参加者に直接体験してもらうこともできるでしょう。
2 6つのポイント
- コミュニケーションの趣旨からの視点
- 主催者が、あなたの担当する部分をどのように位置づけており、何を期待しているのか。また、シリーズの場合は他の話題提供者の内容とどのように関連するのか
- 研究分野からの視点
- あなたが伝えようとする研究分野では、何が本質的で重要なポイントであるか。
- 科学者としての視点
- 社会における科学者の役割と意義を市民に理解してもらうためには、どのような内容を伝えるべきか。
- 参加者の視点
- 参加者がその講演を受講するにあたって、どれだけの予備知識をもち、どのようなことに関心を抱いているか。参加者は講演に何を期待しているか。
- コミュニケーションの双方向性の視点
- あなたは市民とのコミュニケーションから何を学びたいのか。
- 物理的制約条件からの視点
- 講演の時間、場所、参加者の人数などから、その中で実現可能なことは何なのか。
この中で最もあなたを悩ませるのは、参加者の視点でしょう。参加者がどれだけの予備知識をもち、どのような関心を抱いているかというのは、講演を担当するにあたって重要なポイントですが、実際は予備知識や関心は多様です。参加者の多様性を前提に講演をデザインする必要があるでしょう。ただし、多様な参加者を満足させるために、多様な内容を準備しなければならないわけではありません。こどもにはキャラクターのかわいらしさ、大人にはストーリーのおもしろさ、マニアには詳細な設定状況など、さまざまな層から受け入れられるハリウッド映画のようなアプローチが、市民向け講演に求められているのかもしれません。