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名古屋大学高等教育研究センター第228回招聘セミナー・第12回学生支援担当者講習会

学生の経験を学びにつなげるリフレクション:サービス・ラーニングに見る理論と実践

開催日
2026.02.27(金) 15:00-17:00 オンライン
定員:150名
開催レポート
登壇者 黒沼 敦子 氏(国際基督教大学教養学部アーツ・サイエンス学科 特任助教)
応募締め切り 2026.02.25(水) 23:59

地域連携を通じた経験学習の一つであるサービス・ラーニングの理論と実践例を踏まえ、学生の活動経験を学びへとつなげるためのリフレクション(ふりかえり)の意義と技法をご紹介します。特に、経験学習モデルや批判的省察の視点から、経験を多角的に意味づけていくプロセスを整理するとともに、多様なリフレクション手法を解説します。学生支援の場面で学生の気づきや理解を促すうえで役立つ、実践的で汎用性のある視点を提供したいと思います。

 

本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。

オンライン参加の要件等

・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。

・発言等ができる静穏な環境で参加できること。

以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。

 

対象者

大学教職員、学生、関係者

 

参加方法

     ※お問合せ多数につき、定員を増枠(100名→150名)のうえ、再募集いたします。奮ってお申込みください。

参加申込された方にセミナー開催前日までにお知らせします

 

主催

名古屋大学高等教育研究センター[質保証を担う中核教職員能力開発拠点] 

 

諸連絡

いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします

 

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開催レポート

2026年2月27日、名古屋大学高等教育研究センター主催の第228回招聘セミナー・第12回学生支援担当者講習会がオンラインで開催された。本セミナーでは、国際基督教大学の黒沼敦子氏を講師に迎え、「学生の経験を学びにつなげるリフレクション:サービス・ラーニングに見る理論と実践」と題して講演が行われた。学生支援の教育的意義と教職員の役割を改めて問い直すことを目的に、学生の多様な経験を教育的成長へと結びつけるリフレクションの重要性と具体的手法について、理論と実践の両面から検討した。  

 

黒沼氏は、国際基督教大学でサービス・ラーニング科目を担当する教育者であり、同時に日本および国際的なサービス・ラーニング研究のネットワークにおいて理事としても活動する、サービス・ラーニングの実践者・研究者(practitioner-scholar)である。講演ではまず、サービス・ラーニング(SL)が単なるボランティア活動ではなく、地域社会のニーズに応える実践と、その経験を振り返るリフレクションを通して学習を深める経験的学修であることが示された。アメリカの高等教育においては、学生支援部門が担っていたボランティア活動が、教学部門主導のサービス・ラーニングへと展開し、「Scholarship of Engagement」や「Civic Engagement」といった概念のもと、市民性や社会貢献を重視する潮流が形成されてきたことも紹介された。国際基督教大学は2002年にサービス・ラーニング・センターを設立し、日本およびアジア地域における先駆的実践を担ってきた。  

 

本セミナーの中心的論点は、「クリティカル・リフレクション(批判的省察)」である。黒沼氏は、サービス(活動)とラーニング(学習)を架橋する要素こそがリフレクションであると位置づけた。その理論的基盤として、John Deweyの経験主義教育論や、David A. Kolbの経験学習サイクルが参照された。リフレクションは、単に気づきや感想を述べる行為ではなく、経験を広い文脈に位置づけ、多角的な視点から分析・再考し、問い直す過程である。こうした過程を通じて、学習者は経験の意味を再構成し、既存の認識枠組みを問い直すことで知識を創造する「変容的学習」へと至る。他方で、批判的省察を伴わない経験は、既存の固定観念を強化したり、複雑な社会課題に対して単純化された理解にとどまったりする危険性も孕む。学生の経験を真に学びへと転換するためには、批判的省察が不可欠であることが強調された。  

 

具体的枠組みとしては、DEALモデル(Describe/Examine/Articulate Learning)が紹介された。リフレクションは活動前・活動中・活動後の各段階に意図的に組み込むことが重要であり、学生個人のみならず、教員、学生同士、地域パートナーなど多様な主体との対話を通して進められる。問いかけの枠組みとしては、「What?/So What?/Now What?」モデルが示され、「活動における自らの立ち位置(positionality)は何か」「相手との関係性はどのようなものか」「相手の視点から関係を築くにはどうすればよいか」といった具体的な問いが例示された。これらの問いは、経験をより深く、多面的に捉え直す契機となる。  

 

さらに、リフレクションはディスカッション、ジャーナル、ロールプレイ、メディア活用など多様な形式で実施可能であることが示された。効果的な実践の要点として「4つのC」(Continuous、Connected、Challenging、Contextualized)が挙げられ、継続性・関連性・挑戦性・文脈性を備えた設計が、学生の経験を学問的知識と結びつけ、前提や思い込みを問い直す学びを支えると整理された。  

 

最後に黒沼氏は、学生支援に携わる教職員の役割は、単なる調整やケアにとどまらず、「教育的関与」を担う存在へと発展していると指摘した。クリティカル・リフレクションを意図的に導入・設計することが、学生の学びと成長を促す教育環境の構築につながると提起し、講演を締めくくった。  

 

質疑応答では、正課授業にサービス・ラーニングを組み込む際の評価方法、デジタルツール活用の可能性、地域との関係構築における留意点など、多岐にわたる論点が提示され、活発な議論が交わされた。本セミナーは、サービス・ラーニングの理論と実践の知見に基づき、学生の多様な経験を深い学びへと導くための実践的視座を共有する機会となり、参加者にとって意義深い場となった。