名古屋大学高等教育研究センター第229回招聘セミナー
複数の専門知を接続・総合する初年次必修科目「学術アプローチ科目」の設計と運営-九州大学基幹教育の取り組みから-
| 開催日 |
2026.03.11(水) 15:00-17:00
オンライン
定員:100名
開催レポート
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| 登壇者 |
小島 健太郎 氏(九州大学基幹教育院 准教授) |
| 応募締め切り | 2026.03.09(月) 23:59 |
九州大学の基幹教育では、2025年度より初年次の全学必修科目として「学術アプローチ科目」および「課題発見科目」を新設しました。本セミナーでは、分野横断的な知の統合を目指した学術アプローチ科目に関して、複数分野の専門知を有機的に接続する授業デザインの開発、大規模科目の運営体制の構築等についての事例をご紹介します。また、科目開発や実施を経て見えてきた課題と展望について議論します。
学術アプローチ科目:https://www.artsci.kyushu-u.ac.jp/faculty/approach.html
本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。
オンライン参加の要件等
・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。
以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。
対象者
大学教職員、学生、関係者
参加方法
参加申込された方にセミナー開催前日までにお知らせします
主催
名古屋大学高等教育研究センター[質保証を担う中核教職員能力開発拠点]
諸連絡
いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします
| お問い合わせ先 | お問い合わせはこちら |
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開催レポート
本セミナーでは、2025年度から九州大学で導入された初年次必修科目「学術アプローチ科目」について、その開発経緯、授業設計、教材開発、運営体制、初年度実施後の成果と課題が報告された。九州大学では、基幹教育カリキュラムの見直しの中で、従来の課題協学科目に代わる新たな必修科目として「課題発見科目」と「学術アプローチ科目」を導入した。本科目は、共通テーマに対して複数の学問分野からアプローチし、それらの知見を学生自身が接続・統合することを通じて、分野を超えた「総合知」の形成を目指すものである。
当日は、科目設計にあたっての基本的な考え方とともに、大規模な必修科目としてこれをどのように成立させているのかが具体的に示された。年間約2650名の学生を対象に、約50名の教員と約20名のTAが関わり、130名規模のクラスを単位として授業が行われている。授業内では5名程度の文理混成グループが構成され、学生は複数の「アプローチ講義」をグループ内で分担して受講する。また、科目が単なるオムニバス形式にとどまらないよう、授業の途中に組み込まれた「インテグレーション」の回において、学んだ内容を比較・共有しながら、異なる専門知の接続と統合を図る構成となっている。
また、授業の詳細を明示化するための手立てとして、授業設計シート、標準スライド、ワークシート、Moodleコースなどの教材の開発や、運営上の工夫についても報告があった。これらの教材に加え、教員向け手引きやTAマニュアルなどの丁寧な整備を通じて、担当者間で授業の趣旨と進め方を共有し、運営の安定化を図ったことも印象的であった。
初年度の実施では、全クラスで授業と成績評価を完了し、大きな支障なく運営できたことが報告された。一方で、担当教員の交代やシステム設定上の不具合など、運営面での課題もあったという。こうした経験を踏まえ、小島氏は、科目設計・教材開発・運営体制の構築には多くの時間と労力を要する一方、それを支えた教員間の協働と学内関係部署との連携がきわめて重要であったと指摘した。
本セミナーは、初年次教育において複数の専門知をどのように接続し、学生の統合的な学びへとつなげるかという課題に対し、具体的かつ実践的な示唆を与えるものであった。特に、大規模必修科目においても、適切な授業設計と支援体制の整備によって、分野横断的な学びを実現しうることが示された点は、多くの大学にとって示唆に富む内容であった。