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名古屋大学高等教育研究センター第122回客員教授セミナー

平和構築教育における加害者性の再考 -東アジアの越境的教育実践と教育者の立場性-

開催日
2026.06.09(火) 15:00-17:00 オンライン
定員:200名
開催レポート
登壇者 小山 淑子 氏(早稲田大学社会科学総合学術院社会科学部 准教授)
応募締め切り 2026.06.05(金) 23:59

本講演は、平和構築を志向する高等教育において、教員が自らの立場性を再帰的に検討する必要性を踏まえ、加害者性にいかに向き合うのかを問う。東アジアの越境的教育実践を手がかりに、学生による被害者のナラティブの再構築と共有を通じたトランスナショナルなアイデンティティ形成の一方で、個人レベルの加害者性が扱われなかった理由を検討し、教育者の関与のあり方を再考する。 

 

本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。

オンライン参加の要件等

・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。

・発言等ができる静穏な環境で参加できること。

以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。

 

対象者

大学教職員、学生、大学関係者 

 

参加方法

参加申込された方にセミナー開催前日までにお知らせします

 

主催

名古屋大学高等教育研究センター[質保証を担う中核教職員能力開発拠点]  

 

諸連絡

 

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開催レポート

2026年6月9日、名古屋大学高等教育研究センターセミナーにおいて、「平和構築教育における加害者性の再考―東アジアの越境的教育実践と教育者の立場性―」と題して報告を行った。本報告では、日中韓の大学によるキャンパス・アジア・プログラムにおける歴史教育実践を事例に、歴史教育において「何を教えるか」ではなく「誰が教えるか」という視点から考察を行った。学生たちは被害者としての経験や記憶を共有していた一方で、加害者の個人的経験や記憶はほとんど共有されなかった。特に、日本による植民地主義や侵略が扱われた場合でも、加害の主体は国家レベルで語られ、国家を隠れ蓑として個人の加害者性が不可視化される傾向がみられた。さらに、その背景には学生側の要因だけでなく、教員自身が自らの立場性やマジョリティ性を十分に意識化してこなかったことも関わっていたのではないかとの再帰的考察を行った。その上で、被害者/加害者、マジョリティ/マイノリティといった二項対立を超える視座として「両義性」を提示し、平和構築教育において自他の加害者性と向き合う教育実践の可能性について議論した。 

 

質疑応答では、「加害者性を学ばない自由」や「加害者性を問われない自由」はあり得るのかという問いが参加者から提起された。また、マジョリティとマイノリティの境界を往還するための具体的な教育実践として、身体障害者や妊婦の日常生活上の困難を疑似体験する取組など、身体性を伴う学習の可能性が共有された。さらに、留学や異文化環境での生活経験が、自らの立場性や特権を認識する契機となり得ることや、加害者性に向き合うことと和解・平和構築との関係についても議論が交わされた。